衆議院議員・三宅雪子さんは、なぜ叩かれるのか(1)


今月3日発売の「週刊新潮」に、「どう考えてもビョーキな「7人の政治家」」と題する記事がありました。
このブログで、以前にも週刊新潮を批判しましたが、今回の記事も事実かどうか疑わしい記述が多い杜撰なもので、7名の国会議員への罵詈雑言を並べただけとしか思えませんでした。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/backnumber/20110803/
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20091128/p1


その7名のうち5名が総理大臣または閣僚経験者(在任中含む)で、1名が民主党幹部。残るひとりが、当選1回の衆議院議員・三宅雪子さんでした。
政府、国会または党で重要ポストに就いた経験がない三宅さんが叩かれた理由は、昨年5月の「転倒騒動」でしょう。
インターネットで、この騒動に関する三宅さんへの数えきれないほどの誹謗中傷を見て、三宅さんへの関心が強くなりました。「なぜ、これほど憎まれ叩かれるのだろう」と思ったのです。


転倒騒動で、民主党は「自民党議員・甘利明氏が民主党議員(三宅さんではない)を押したため、玉突き衝突のような形で三宅さんが転倒した」と甘利氏に対する懲罰動議を提出したようですが、その甘利氏は「はめられた」「カメラが入っている中で映像を作られた」などと「三宅さんによる自作自演の可能性」を示唆しました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%AE%85%E9%9B%AA%E5%AD%90%E8%AD%B0%E5%93%A1%E3%81%AE%E8%BB%A2%E5%80%92%E9%A8%92%E5%8B%95
http://www.amari-akira.com/special/20100514-01_miyakegiin.pdf


これに対して、三宅さんは、ご自身のブログで「断じて自ら倒れたわけではない」と反論されています。
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-320.html


甘利氏が触れた「YouTubeの動画サイト」を見ても、三宅さんらしき人物が倒れた様子は確認できるのですが、その原因までは分かりません。甘利氏の「はめられた」「カメラが入っている中で映像を作られた」との主張は、甘利氏の主観でしかありません。
「突然、私の視野の外から三宅議員がダイビングをするかの様に前に倒れこんできました」と甘利氏は述べていますが、玉突き衝突のような形であれば、甘利氏の加えた物理的力によってそのようになることはありえます。
そもそも、甘利氏は「私が「ふざけるな!」と私を妨害している私の前の議員を押しのけた」と、「押しのけた」ことを認めているのです。


三宅さんまたは民主党が「甘利氏が直接三宅さんを押したことで三宅さんが転倒した」と主張しているのであれば、「三宅さんの自作自演」または「三宅さんの嘘」を疑われても仕方ないかもしれませんが、そのようなことはないようです。
三宅さんは、「数度にわたり隣にいた同僚議員が押された際、玉突になり、本来、踏ん張れるところが、足がからまっていたか、靴を踏まれていたため、そのまま転倒してしまいました」と述べています。
甘利氏が、民主党議員(三宅さんではない)の身体を押し、その議員の隣にいた三宅さんに圧力がかかり、三宅さんが転倒したとする説明には、不自然な部分は全くありません。
倒れ方によっては、あるいは当たり所によっては、軽傷では済まないことも全く不自然ではありません。
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-325.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-328.html


自民党および共産党の議員が「エレベーターの中での三宅さんの発言」についてブログで述べており、それを「自作自演の証拠」と考える人もいるかもしれません。しかし、よく読めば分かるのですが、両議員とも「三宅さん発言」を「三宅さんが自作自演を認めた」ものであると断定してはいません。「自分で転んじゃって、恥ずかしい」の発言が事実であったとしても、前後の文脈によって多様な解釈が可能です。人間の記憶は時間の経過とともに薄れるだけでなく変化することも忘れてはなりません。自民党および共産党民主党への対決姿勢を強調してきたので、その両党所属議員の「証言」の信憑性には、疑問があります。
一方の三宅さんは、「自民党の議員が私とエレベーターで同乗した際、自分で転んだと語ったとホームページに書かれていますが、そのような事実はありません」と完全否定されています。
そもそも、自民党の甘利氏とのトラブルなのに、別の自民党議員に「自作自演」を認める発言など、ありえないでしょう。
http://www.incl.ne.jp/hase/schedule/s201005/s100513.html
http://www.incl.ne.jp/hase/schedule/s201005/s100516.html
http://www.miyamoto-net.net/column2/diary/1274090368.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-320.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-325.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-328.html


他にも、マスメディアで「三宅さんによる自作自演の可能性」を示唆する報道が何度も行なわれたようです。
しかし、ひとつひとつの真偽が分からない情報を分析してみても、きりがありません。
三宅さんの自作自演である証拠は皆無です。


重要なことは、「三宅さんの主張は疑わしい」とする大量の情報が流される中で、「三宅さんが悪い」と多数の人々が思い込んでしまったらしいということです。
これは、元民主党代表・小沢一郎氏の「疑惑」報道とかなり似ています。


小沢氏は、小沢氏の元秘書らによる政治資金規正法違反に関連して検察の捜査の対象になりましたが、検察は小沢氏を2回不起訴にしました。それにもかかわらず、「一般市民」で構成される検察審査会の議決によって起訴されてしまいました。
その要因のひとつが、マスメディアの偏向報道でしょう。小沢氏の元秘書らによる「違反」と同様の行為は、自民党など他の多数の議員事務所にも見られるものであるようですが、そのことはほとんど報じられませんでした。自動車のスピード違反はいくらでもあるのに、特定の車だけを尾行し、そのスピード違反を視認すれば逮捕するようなものでしょう。また、「小沢氏が違法なカネを手にした」と言わんばかりの真偽の不確かな情報が、長期間にわたって毎日のように大量に流され続けました。これらの報道によって、マスメディアが作り上げた小沢氏の虚像が実像であると思い込んだ人々の多さが、マスメディアによる世論調査で小沢氏に否定的な結果ばかりとなったことに表れていると思います。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%be%ae%c2%f4%b0%ec%cf%ba


人間の生活に、推論は欠かせません。自分に関わるものの全ての真偽をひとつひとつ確認していては、あまりにも時間がかかりすぎるからです。効率が悪すぎるのです。そのため、マスメディアおよび学校から、私たちは「鵜呑みにする訓練」を受け続けてきました。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20110222/p1


しかし、「訓練」の副作用として「自分の推論が全て事実と思い込む」「推論と事実を区別できない」人々が大量生産されます。カルト悪質商法または詐欺に騙される被害者が、その代表格です。そして、小沢氏および三宅さんを叩く人々の大部分も、恐らくそうなのでしょう。


転倒騒動によって、三宅さんは、自民党支持者から「自民党議員を罪に陥れる卑怯者」のレッテルを貼られてしまったのだと思います。また、「記者クラブメディア」の存続を脅かす小沢氏を排除したい勢力にとっても、小沢氏を支持する三宅さんは格好の攻撃対象になったと考えています。


三宅さんのブログの一部をざっと読みましたが、マスメディアからの攻撃のひどさは私の想像をはるかに超えていたようです。三宅さんのブログの内容に虚偽があればすぐにバレることなので、私は全て真実なのだろうと判断しています。
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-422.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/1.html
http://www.miyake-yukiko.com/blog/post-434.html
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98632199011696640
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98633553486680064
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98635428797751296
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98636710849691648
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98639631578447872
http://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/98689002126839809


昨年11月に三宅さんは大怪我をされ、手術を受け、それ以降も激痛に苦しみ、今年6月には再手術、先月退院されるなど、心身ともに大変な日々を過ごされているそうです。


また、フジテレビ社員だった頃より実質的な収入は減っているそうです。
贅沢はしなくても、群馬事務所の維持費(賃料および人件費など)が相当かかり、献金は少ないため、三宅さんの持ち出しがかなりあるそうです。
私も、参議院議員・有田芳生さんの3回の選挙をお手伝いしたので、そのあたりの事情は分かります。
しかも、東日本大震災を受け、国会議員の歳費は大幅にカットされています(これは、政治主導実現をますます困難にするでしょう)。


権力者ではなく、多額の収入を得ているわけでもなく、心身ともに過酷な状況にある三宅さんに対する卑劣な攻撃に、私は強い怒りを覚えます。「よくもそこまでできるものだ」と。
私には、正当な理由もなく叩かれている人を見ると擁護したくなる傾向がありますが、それだけでなく、三宅さんの現在の政治および政治を取り巻く状況への見識の高さを感じてもいます。
弟さんが知的障害を持っていることも福祉分野に取り組む動機になっているようで、その点も共感できます。
今は体調の回復を最優先し、その後、小沢氏とともに「国民の生活が第一」の政治を実現されることを期待しています。