「自民党もどき」の民主党の再生には、何が必要か


毎日新聞の記事(10日付け)より。

 みんなの党の分裂劇は、渡辺喜美代表と江田氏との感情的なもつれが一因だ。09年の政権交代から3年余り政権を担った民主党は、消費増税など主要政策を巡って党内対立を繰り返してきた。政党の統治力が問われているのに、みんなは今なお内紛を続ける。江田氏の離党・新党結成がもたらすのは、政界再編への期待感か。逆に「野党不信」に拍車がかかる恐れもある。

 「野党勢力の結集」をうたう江田氏に、野党の視線は複雑だ。民主党海江田万里代表は9日の記者会見で、江田新党について「民主党が安倍政権への対立軸を示して、多くの国民の支持を得れば、他の野党から『民主党を中心にまとまっていこう』という機運が出てくる」と述べ、足元固めを急ぐ考えを示した。江田氏に対しては「前途はなかなか厳しいから、ご自愛ください」と距離を置いた。

http://mainichi.jp/shimen/news/20131210ddm005010083000c.html


朝日新聞の記事(15日付け)より。

 細野豪志民主党前幹事長(42歳) 党再生・野党再編へ、あえて派閥化
(中略)
 自誓(じせい)。師から戒を授かることなく、自ら誓うことにより仏道に帰依する。明恵(みょうえ)上人の「八斎戒(はっさいかい)自誓式」に由来する。細野は高山寺で、自分が先頭に立って政権交代の再来を果たすと誓い、来年4月発足させる派閥の名称を「自誓会」に決めた。

 菅直人の「国のかたち研究会」、野田佳彦の「花斉(かせい)会」、前原誠司の「凌雲(りょううん)会」。民主党のグループは、自民党の派閥文化を否定するがゆえにサークル色が強く、複数のグループに所属する議員も少なくない。だが、自誓会では掛け持ちを認めず、企業献金を受け分配する。既に約10人と、他のグループに伍(ご)する数も確保した。ブレーンの一人には派閥政治を極めた田中角栄の元秘書、朝賀昭が座る。
(中略)
 細野は今月初め、海江田を訪ね、告げた。「民主党を出て、新党をつくるつもりはありません」

 細野が描くのは、民主・維新・みんなを切り崩した新党ではない。それでは寄り合い所帯と非難され、ガバナンスを失って分裂した民主党の二の舞いだ。自誓会を通じて民主党を「風雪に耐えられる組織」に変え、維新やみんなの一部を吸収する。民主党を核にした「大きくなる再編」論だ。

 だが、当の民主党は政権転落から立ち直れず、党内を停滞感が支配する。「どうせ3年は選挙がない」「絶対敵失がある」「高みの見物をしていればいい」。民主党文化を真っ向から否定する派閥結成への拒絶感も強く、グループからは小川、泉、辻元清美が去った。細野への共感は広がらない。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201312140436.html?_requesturl=articles/TKY201312140436.html&ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201312140436


日経新聞の記事(18日付け)より。

 民主党で離党の動きが止まらない。7月の参院選後、落選中の鈴木寛元文部科学副大臣や現職の山口壮元外務副大臣らが相次いで離党届を提出した。人材を引き留めたい党執行部は17日、次期衆院選の公認内定者33人を追加決定。野党再編の動きが本格化する兆しをにらみ、各選挙区での足場固めに向けて資金面での支援に本腰を入れる。

 離党者が続出しているのは党再生にメドが立たず、自民党への対抗軸を確立できていないことが理由だ。16日には楠田大蔵元防衛政務官が離党の意向を表明。5日に離党届を提出した現職の山口氏には「地元の県議を引き連れて自民党入りする」(自民党幹部)との説が飛び交う。参院選後の4カ月で少なくとも9人が離党届を提出した。

 執行部が人材流出に歯止めをかけるカギと見るのが、次期衆院選に向けた公認内定者選びだ。17日に内定したのは当選回数が1〜3回で落選した中堅・若手が中心。後援会組織などが脆弱な若手は資金面で悩みを抱えており、候補には月50万円の活動費が支給される。

 民主党は政権時に蓄えた資金が100億円程度が基金として残っており、次期衆院選参院選の「軍資金」となる。他の野党に比べて優位に立つ資金力で候補者をつなぎとめる作戦だ。野党間で次期衆院選への準備は民主党が突出する。
(中略)
 公認選定を急ぐ背景には、野党再編を民主党が主導して進めたい思惑も透ける。18日に旗揚げする「結いの党」や日本維新の会も候補者選びを進めるが、再編が本格化していく中で、最大の壁になるのが選挙区ごとの候補者調整だ。民主党幹部は「勝てる候補が優先される」(党幹部)と解説する。

 17日夜には、輿石東参院副議長の呼びかけで、同党の細野豪志前幹事長、松本剛明政調会長代理、樽床伸二総務相らが都内で会談。民主党を軸に再び政権交代をめざす方針で一致した。

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64244840Y3A211C1PP8000/


細野氏(海江田氏も?)は、日本維新の会(の一部)および結いの党民主党に吸収することを狙っているようです。
自民党もどき」が自民党に勝てないことは、昨年の衆議院選挙および今年の参議院選挙での民主党の惨敗で、はっきりしていると思うのですが…


海江田氏および細野氏は、生活の党との連携に否定的な見解を述べています。
有権者の半数だけでも、「自分の利益を代表する政治家」に投票していれば、生活の党は一大勢力になるはずですが、そうなってはいません。
小沢一郎氏を標的にしたネガティブ・キャンペーンが、いかに民主主義を破壊したか。改めて怒りを覚えます。
「小沢外し」で自滅した民主党に代わって政権に復帰した自民党は、民主主義破壊を更に推し進めています。


先月、民主党を離党した元衆議院議員首藤信彦氏は、民主党の「今後の進路はもはや閉ざされています」と述べています。


首藤氏のブログ(先月11日付け)より。

これまで民主党の変容と変質を嘆きつつも、少しでも結党時の原点であるリベラル勢力の総結集の路線に引き戻そうと努力してきましたが、忍耐の限界に直面し、ついに民主党を離党しました。
(中略)
昨年末の衆議院選挙で民主党は多くの議員を失いましたが、私を含め、リベラルな政治家へのダメージはとりわけ大きかったと感じています。果たしてあの選挙時期が適切であったかどうかは別として、すでに民主党内では、私が取り組んだ反TPP、脱原発、消費税慎重の三つの大きな争点とグループに対し、保守派を中心とする執行部との確執が致命的なレベルに達し、もはや政党としての体をなしていない状態に陥っていたことは事実です。この時期多くの同僚議員が民主党を離れましたが、それはまさに官僚と保守層の喜ぶところであり、私はたとえ民主党が野党に転落しても、政治の正道を守るために残留を決めました。
 しかしながら、選挙後に野党となった民主党は、右傾化する安倍政権と利権政治回帰の与党に対峙することなく、むしろ、自公政権の補完勢力のような政治行動・議会運営に終始しているように思われます。
(中略)
さらに、最近では日本版NSC設立などに関しても、右傾化する与党への協力姿勢が顕著です。東アジアに武力衝突の可能性すら高まりつつある現在、そうした民主党の安倍政権への妥協・容認姿勢はもはや看過できないものがあります。
1990年代に自民党腐敗政治に対して立ち上がった、さまざまな社会各層・リベラル勢力の総結集であった民主党の政治基軸は揺らぎ、理念は形骸化し、保守的な政治信条を持つグループと労働組合を背景とするグループの並存する保身的な政治集団に堕してしまったのが現在の民主党の実態です。
(中略)
参議院選挙では多様な人材やリベラルな政治信条を持つ候補者の議席を確保することができず、比例当選者はほとんどが組織候補というように、民主党の組織が保守勢力と労組勢力の並立状態に陥るのを加速する事態となりました。さらにまた、地域においては、地方議員の保守化・保身化は著しく、行政と癒着し、あるいは第二自民党化し、ここでも社会改革の旗手としての民主党の存在意義は失われてしまいました。このような状況下では、もはや変質し変容した民主党に残留する意味も意義もなく、離党を決意したしだいです。
最後に、今回、世間的には離党ということになりますが、私自身の基本的な政治スタンスは民主党結党時以来、何ら変化しておらず、むしろ民主党こそが結党時の精神と歴史的意義を喪失し、日本の政治改革の場から勝手に退出していってしまったのが実態であり、私は現時点で最終的に、そのような民主党と決別いたします。
(中略)
民主党がその理想を政治に生かすためには再度、党勢拡大し、選挙に勝利して再び政権交代を実現させなければならないはずですが、現在の民主党はむしろ自公の補完勢力として、さらには将来の連立による与党利権への回帰を目指しているとしか考えられません。
(中略)
日本は一応、民主主義国家ということになっていますが、学校においても政治教育がなされず、家庭においても民主主義を論じることはない。選挙は人気投票になり、その瞬間瞬間のマスメディアに煽られた結果となる。大手新聞・TVなどのマスコミ各社も政府を批判せず、テレビ報道はワイドショー中心となり、社会の真実は芸能のレベルでしか伝えられない。派遣や限定社員など労働条件の極端な悪化にもかかわらず、労働組合ストライキを行わない。若者は単なる消費者となり、政治に無関心。その一方で、格差社会が拡大し、財政は悪化の一途。知識人や選良は政治の世界から駆逐。我々はこうした日本社会と国民の衰退と劣化の現実を直視する必要があります。
(中略)
ここで再び原点にもどり、広範な市民各層によびかけて、新しい政治運動をつくり出していきたいと思います。政治には草の根民主主義という概念がありますが、結局それは日本には存在しないことがわかった以上、民主主義砂漠の日本社会にまず草の実を蒔いていくことから始める必要があります。それを迂遠という人は、日本社会の病理の深さと深刻さを直視していないというほかありません。
具体的には、ともかく政治を支える国民と政治を担う者を新たに構築しなおす必要があります。社会に対しての啓蒙活動と同時に、具体的に政治を担う老若男女を育てていかなければなりません。

http://blog.goo.ne.jp/sutoband/e/f890f1a2c6fe7e2bb36967d3320eb90e


首藤氏の現状認識の大部分に、私も同意します。
同意できない部分は、民主党を完全に見限っていることです。
民主党には再生のチャンスがまだ残っていると私は考えています。
私が支援してきた参議院議員有田芳生さんも、そのようにお考えのようです。


野田政権で主要ポストに就いていた保守系議員たちを追放することが、「何をやりたいか分からない政党」からの脱却のために、最低限必要です。
自民党と似たような政策ばかりを実現しようとする人々が、民主党を離党しないことが大問題なのです。


日本維新の会への移籍が噂されていた保守系議員たちは、橋下徹の「慰安婦発言」後の日本維新の会の支持率低迷を受けて、莫大な資金を蓄えている民主党からの離党を思い止まってしまったようなので、その資金がなくなるまでは無理かもしれません。


生活の党の、大多数(99%?)の「国民の生活が第一」とする理念こそが、自民党に対抗可能な勢力を結集するために必要なものであるはずです。
もう一度、政権交代を実現するためには、生活の党を支援しなければならない。そのように強く思います。
http://togetter.com/li/542432