広島少年院元首席専門官・向井義氏の有罪判決への疑問(2)


昨日、広島地裁で、広島少年院元首席専門官・向井義氏に有罪判決が言い渡されましたが、その判決への私の疑問は、ますます強くなっています。
そもそも、事件自体が広島地検による捏造なのではないかと疑わざるを得ないのです。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20101101/p1

 判決は、被害少年が死への強い不安感や恐怖を感じ続けたことを重くみて、向井被告の行為が特別公務員暴行陵虐罪にあたると判断した。


 しかし、シーツで首を絞め、洗剤を混ぜて有毒ガスを発生させた、などとする起訴内容の根幹部分は「合理的な疑いが残る」として認めなかった。「目撃証言を含め、被害少年の証言を裏付ける明確な証拠が全くない」とも指摘。事実認定は、シーツは首に巻き付けただけで、有毒なガスも発生したかのように装った、とするにとどまった。


 向井被告が容疑を認めた自白調書は、取り調べが犯行から4年後のことで被告の記憶が薄れていることなどから、「行為の内容や動機が事実認定と整合しない」と指摘。取り調べ時の検察官による誘導や脅迫、長時間の聴取など、任意性には問題ないとしながらも、「証拠価値は低く、信用性を過大には評価できない」と断じた。


 少年に「殺す」と言われ、激高して犯行に及んだとする検察側主張に対しても、行為はあくまで指導目的だったとし、同罪で有罪判決を受けた4人の元法務教官との違いを強調した。広島少年院での複数の法務教官による暴行事件が、向井被告を中心に起きたとの構図は否定された。


(中略)


■事件の経過
2005年
4月 向井義被告が首席専門官として広島少年院に着任
9月 起訴内容となった在院少年への暴行事件が発生
2007年
4月 向井被告が瀬戸少年院(愛知県瀬戸市)へ異動
2009年
4月 広島少年院の在院少年が暴行被害について別の法務教官に申告
8月 広島地検が奈良少年院次長だった向井被告を特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕
10月 向井被告が初公判で無罪主張
2010年
8月 検察側が懲役1年6カ月を求刑、弁護側は改めて無罪を主張し結審
10月 広島地検が向井被告を取り調べた際にとったメモを廃棄したとして、弁護団最高検に調査を申し入れ

http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000001011020001


アスペルガー症候群の知人が、猫をひどく怖がることを思い出しました。発達障害の人は、発達障害ではない人にとっては何でもない対象に強い恐怖感を抱くことがあります。そのことを、裁判官は知っていたのでしょうか。


「事件発生」から4年後に逮捕され取り調べられたのですが、「被害者」を含め、当事者の記憶が変化してしまったことに付け込まれた可能性も考えられます。
「無実の人が誤って逮捕される原因」「無実の人が自分の犯行を認める要因」については、以前の記事で述べたとおりです。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20100913/p1


朝日新聞の記事でも指摘されているとおり、もし有罪が確定すれば、向井氏は懲戒免職処分を受けることになります。執行猶予が付いていても、重大な結果を招くのです。
無実だったのであれば、取り返しのつかない事態になります。