広島少年院元首席専門官・向井義氏の有罪判決への疑問(1)


広島少年院の元首席専門官・向井義氏の裁判、執行猶予付きの有罪判決が今日言い渡されました。しかし、報道内容からは、むしろ冤罪である可能性がさらに高まったと私は考えています。
http://www.asahi.com/national/update/1101/OSK201011010020.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010110100020

 広島少年院(東広島市)の暴行事件で、特別公務員暴行陵虐罪に問われた同少年院の元首席専門官、向井義(ただし)被告(49)の判決公判が1日、広島地裁であった。芦高源裁判長は懲役10月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 ▽広島地裁「教育の範囲逸脱」

 公判では、一貫して無罪を主張していた向井被告の行為が暴行に当たるかどうかが争点となった。この点について、芦高裁判長は「直接的な暴力は振るっていないが、少年に対し一方的に死の危険性や恐怖を感じさせた」と指摘。「指導の要素を大きく失い、矯正教育の範囲を逸脱している」と述べた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201011010188.html

 判決によると、向井被告は05年9月、少年院の体育館などで、収容少年(当時16歳)の首にシーツを巻き、自分で絞めるよう指示し、遺書を書くよう命じた。また、ビニール袋に洗剤を混ぜて気体を発生させたように装い、「これを吸ったら死ねるぞ」と言って顔に近付けた。

 向井被告は逮捕前、地検副検事による任意聴取で自白供述調書に署名したが、「『異常者として調書を作る』『認めれば不起訴にする』などと副検事に迫られ、不本意に署名した。検察の描いた構図に沿った調書に無理に署名させられた」と公判で主張。弁護人が捜査段階から保存を求めていた取り調べメモを地検が廃棄したことも指摘したが、芦高裁判長は「被告は供述調書を見て印鑑を押している。お任せしますと最後は言っており、利益誘導は認められない」として調書の任意性を認めた。ただ、「客観証拠もなく、事実に沿っていない部分もあり、証拠価値は低く、信用性は過大に評価できない」と指摘し、「被告がシーツで首を絞めた」などとする検察の主張とは一部異なる事実認定をした。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101101k0000e040030000c.html


以前の記事でも述べましたが、発達障害の人は、発達障害ではない人が簡単に理解できることがなかなか理解できないという特徴があるため、「普通の指導」では効果がない場合があります。もちろん暴力は正当化できませんが、向井氏の行為が暴力と言えるかは相当疑問です。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20101019/p1


有罪判決となったのは、裁判所が検察から提出された供述調書などを証拠として認める「悪習」から脱することがいかに困難かを示しているのかもしれません。


検察と被告人側の主張は真っ向から食い違っていますが(中国新聞の記事参照)、証拠の改竄さえ行なう検察の体質から考えると、向井氏も冤罪の被害者である可能性が高いと言わざるを得ません。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201010310065.html