「食品偽装」に見る危機管理の欠如


今日、高級料亭として有名だった「船場吉兆」が、食品の産地偽装又は不正な品質表示に関して、経営陣の責任を認め、改善報告書を農林水産省に提出しました。


最近、複数の企業による「食品偽装」の数々が、次々と明らかになっています。

「あの有名企業でも、このようなことをやっていたのか」と驚かされるばかりです。


「食品を扱っている企業の経営者には、『食中毒さえ起こさなければ何をやっても良い』と考える者が少なからず居る」という見方もあるようです。

公的なチェック体制の確立が急務だと思います。難しいでしょうが…


「食品偽装」を行なった企業が、問題発覚後、更に自分の首を絞めるようなお粗末な対応をとるのを見ると、ますます情けなくなってしまいます。



疑惑がマスメディアに報じられる
→経営者又は担当者が疑惑を否定する虚偽の発表を行なう
→マスメディアによって、食品偽装を裏付ける証言などが報じられる
→経営者又は担当者が疑惑を一部認めるが、一部の事項について再度虚偽の発表を行なう
→マスメディアによって、「再度の虚偽の発表」の内容を否定する証言などが報じられる
→経営者が疑惑を全面的に認め、辞任する



不思議なくらいに同じようなパターンが繰り返されているのです。


嘘又は隠蔽をいくつも重ねて、最後には追い詰められて全てを認める。

最低の対応です。

それでは、企業は深刻なダメージを受けてしまうのです。


私は、学生時代に危機管理を学んだことがあります。

危機管理には事前の準備が不可欠なのですが、「食品偽装」の経営者たちには、危機管理のための備えが完全に欠落していたとしか思えません。


適切な危機管理を行なえば危機はチャンスにもなり得ることは、アメリカの大手製薬会社「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の有名な事例が明らかにしています。


愚かな経営者の近視眼的な判断は、消費者ばかりでなく、問題の企業の従業員の生活にも大きな被害を与えてしまいます。

危機管理を知らない経営者は、同じ轍を踏まないよう、今すぐに適切な行動を選択しなければなりません。