橋下徹の記者会見での詭弁を分析する


27日、日本外国特派員協会で記者会見を行なった橋下徹ですが、詭弁を連発して恥の上塗りとなってしまいました。
前回までの記事と併せてご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%B6%B6%B2%BC%C5%B0


J-CASTニュース(27日付け)

橋下市長は、大阪の旧遊郭街として知られる「飛田新地」の組合の顧問弁護士を務めていたが、市長という公的な役割との整合性を問う質問が出た。これに対して橋下市長は、
「かつては顧問弁護士だったことは事実。それは、飛田の組合という『料理組合』の顧問弁護士。日本において違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰する。料理組合自体は違法でもない」
と主張。記者席は失笑の声がもれた。この回答では到底理解を得られなかったようで、別の記者が、
「名称は『料理組合』かも知れないが、飛田は、お店の2階に上がってお金を払えば買春できることは、大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っている。中学生が聞いて、『橋下さん、うそついてはるわ!』と思うような詭弁(きべん)を弄してひとりの政治家として恥ずかしくないのか」
と追及。橋下市長が苦笑いしながら、
「違法なことであれば、捜査機関が行って逮捕されます。以上です」
と述べると、「なーにいってんだ」という声とともに、再び失笑が漏れた。

http://www.j-cast.com/2013/05/27175959.html?p=all


田中龍作ジャーナル(27日付け)

 橋下氏の政治家としての資質を問う質問も飛び出した。イタリア人記者が「大阪の飛田遊郭の顧問弁護士をしていたというが、売春は日本で禁止されている。女性の尊厳を重視するといいながら、相反していないか?」と質問した。

 橋下氏は「守秘義務があるのでここで語ることはできない。かつて料理組合の顧問弁護士だったことは事実」と一部雑誌などで報道されたことが事実であったと認め、「料理組合自体は違法ではありません」とかわした。会場からは失笑がもれ、質問した記者めがけて「good job!」の声がとんだ。

 筆者は「飛田の料亭の二階に上がりお金を払えば売春できることは大阪の中学生なら誰でも知っている。“橋下さん嘘ついてはる”といわれる。中学生でも分かるような詭弁を弄して政治家として恥ずかしいと思わないか?」とたたみかけた。

 橋下氏は「違法なことがあれば、捜査機関が来て処罰されます」とだけ答えた。遊郭の弁護士をしていたからこそ、「風俗活用」発言が飛び出したのではないか。

http://tanakaryusaku.jp/2013/05/0007176


日刊ゲンダイ(28日付け)

 ある外国人記者は会見20分後にメモを取るのをやめ、1時間後には途中退席する記者が相次いだ。27日、日本外国特派員協会で行われた日本維新の会橋下徹共同代表(43)の記者会見の一コマだ。

 300人超の報道陣を前に、橋下は慰安婦発言の「真意」を延々しゃべり倒した。会見は実に3時間にも及んだが、中身はスカスカ。質問には正面から答えず、得意の論点すり替えの連発に外国人記者もドッチラケ。恐らく「聞く価値なし」と判断したのだろう。冒頭のように、うんざりムードが漂っていた。

(中略)

 かみ合わない問答を象徴したのが、イタリア人ジャーナリストのピオ・デミリア氏とのやりとりである。

 ピオ氏が橋下にブツけたのは、茶髪弁護士時代の過去だ。かつて大阪・飛田新地にある150軒ほどの「ちょんの間」を束ねる組合の顧問をしていたという一部報道を取り上げ、「あなたも違法な売春シンジケートに関与していたのではないか」と問いただした。

 すると、橋下は「顧問弁護士だったのは事実」と認めた上で、不敵な笑みを浮かべながら、こうはぐらかした。

「ただ、あくまで飛田の『料理』組合の顧問です。日本において(組織売春のような)違法なことがあれば、捜査機関が適正に処理する。料理組合自体は違法な組織ではありません」

 ジャーナリストの田中龍作氏が「飛田が売春の街であることは、大阪のマセた中学生なら誰でも知っている。なぜ詭弁(きべん)を弄するのか」と追及しても、「違法であれば捜査機関が適正に処理する。以上です」とマトモに取り合おうとしなかった。改めて田中氏は言う。

自分の過去を直視できない政治家が、どの口で『世界各国も女性を蹂躙した過去と向き合え』などと言えるのか。あんな不実な態度では、慰安婦発言の見解も『単なる言い逃れ』と外国人記者に見透かされてしまう。世界中に『日本の政治家はこの程度か』と見下され、ひいては日本人全員への不信にもつながりかねません」

http://gendai.net/articles/view/syakai/142582


J-CASTニュース(28日付け)

コメンテーターの竹田圭吾(国際ジャーナリスト)は「誤報ではないかとか、他の国も責任を感じるべきだとか言うのは論点のすり替えと責任転嫁ですよ。この2週間の対応は詭弁のデパートみたいで、その総決算のような会見だったと思う。それがあまり表に出てこなかったのは、同時通訳が上手で女性の声だったことや、質問もゆるかった」と厳しい見方をした。

http://www.j-cast.com/tv/2013/05/28175983.html?p=all


J-CASTニュース(28日付け)

コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説委員室長)「何をもって誤報としているのか。その根拠を示して欲しいですよね。でも、彼はそれについて何も語っていない。彼の発言には問題のすり替えや責任転嫁が多い」
三屋裕子(スポーツプロデュサー)も「橋下さんはもうしゃべらない方がいいですよ。しゃべればしゃべるほど泥沼にはまっていく」と眉をひそめる。
潟永秀一郎(「サンデー毎日」編集長)「政治家としての発言が、どれほどの重みを持っているのかをわかっているのでしょうか。彼はやんちゃというイメージでこれまで受け入れられ、維新の会を支えてきた。しかし、そのイメージも今回の問題で崩れつつある。維新の会への支持率はどんどん下がっており、これから厳しい状況に置かれるでしょう」

http://www.j-cast.com/tv/2013/05/28175980.html?p=all


琉球新報(社説、28日付け)

 「米軍の犯罪被害に苦しむ沖縄の問題を解決したいとの思いが強すぎて誤解を招いた」と、沖縄のためを思っての発言だったというが、苦しい弁明だ。「県民の基本的人権が尊重されるよう、米軍が実効性ある取り組みを開始することを切に望む」とも述べたが、大型連休中に来県した際、県などが長年求めている日米地位協定の抜本改定を「市民運動的」と酷評していたことを指摘しておきたい。

(中略)

 最初の発言は「精神的に高ぶっている猛者集団に慰安婦制度が必要なことは誰だって分かる」だ。翌日のツイッターには、自身に批判的な新聞も「発言を比較的正確に引用してくれた」と書き込んだが、非難が殺到すると態度を一変。「大誤報」「日本人の読解力不足」と責任を転嫁するさまは見苦しく、政治家としての資質さえ疑う。
 発言の修正を重ねて臨んだこの日の会見では「女性の尊厳と人権を普遍的価値として重視している」と最初とはまるで別人だったが、慰安婦に関しては、「利用」した日本は悪かったとしつつ、外国軍も同様のことを行ったと重ねて主張した。
 問題解決への向き合い方が問われている自身の責任は棚に上げ、「他も同じことをやっている」と反論を繰り返していることが、海外の日本批判をさらに強めていることにもいい加減気付くべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-207223-storytopic-11.html


毎日新聞(28日付け)

 橋下氏は沖縄の米軍司令官に風俗業の活用を求めた発言は撤回したが、謝罪する対象を「米軍と米国民」に限った。あくまで対米関係の問題として、この日も撤回しなかった従軍慰安婦を巡る発言と切り離す狙いがある。

 しかし、橋下氏が批判を受けたのは、「在日米軍兵士による犯罪の抑止」のために風俗業の活用を求める発言と、「銃弾が飛び交うなかで命をかけている集団には慰安婦制度は必要」という発言が共に、女性を性の道具として利用することへの批判的な観点が欠けているとみられたためだ。慰安婦を巡る「必要だった」とする発言について、当時の一般的な認識を指摘しただけで「報道は誤報だ」と主張しても、橋下氏自身が米海兵隊に女性の「利用」を勧めた事実がある以上、説得力がない。

 このため、橋下氏は会見の冒頭で、「本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像・政治家像が流布してしまった」と悔やみ、「疑問の余地なく、女性の尊厳を大切にしている」と強調した。

 そのうえで、従来の発言が「女性蔑視」と指摘されていることと橋下氏自身が主張する「人物像」との食い違いについては「戦時において世界各国の軍が女性を必要としていたと発言したところ、私自身が必要と考える、私が容認していると誤報された」と報道に責任を転嫁した。

 さらに、米英、韓国、ドイツなどを名指しし「女性を利用したことは世界各国が過去を直視しなければならない」と訴え、問題の一般化も図った。

(中略)

 橋下氏は「日本の過去の過ちを正当化するつもりはない」と繰り返した。だが、記者会見で橋下氏自身の政治家としてのあり方が問われているのに、報道への責任転嫁や問題の一般化は答えをそらしている印象につながる。

http://mainichi.jp/select/news/20130528k0000m010110000c.html


毎日新聞(30日付け)

 橋下氏は「メディアは一文だけ聞いてそこだけ取る」「文脈をきちっと取って報道すべきだ」と言う。では、14日の一問一答全体や文脈から何が伝わったのか。沖縄の地方紙、琉球新報の18日社説はこう書いている。

 「『海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール』するはけ口として、生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ」「(戦時中)『慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる』と述べたが、『分かる』はずがない」「沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい」。同感である。

 橋下氏は後に「風俗業発言」は撤回したが、文脈から伝わったのは、従軍慰安婦問題の見解や歴史認識以前の、橋下氏の人権感覚、人間観ではないだろうか。国内外に批判が広がったのもこの点にある。「報道で正反対の人物像・政治家像が流布してしまった」と橋下氏は言う。しかし、流布した原因は橋下氏の発言、言葉そのものにある。報道批判は責任転嫁だ。ましてや、「日本人の読解力不足」との指摘はあたらないし、「他国も同じようなことをした」との主張は論点のすりかえと映る。

http://mainichi.jp/select/news/20130530mog00m040001000c.html