人を不幸にする日本、幸福にするオランダ


以前に、このブログで、オランダなどの「ワークシェアリング」「フレキシキュリティ」について取り上げたことがあります。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%a5%ef%a1%bc%a5%af%a5%b7%a5%a7%a5%a2%a5%ea%a5%f3%a5%b0


そのオランダの働き方について、今日の毎日新聞に関連記事がありましたので、以下記録しておきます。

 30年前、80年代初頭のオランダはまだ「男は仕事、女は家事と育児」という古い観念にとらわれていた。85年当時の女性の労働参加率は35%にすぎず、当時53%だった日本よりも低かった。ところがこの数字は2011年、70%まで跳ね上がった。

 日本の約8分の1、人口1700万人ほどの小国ながら、欧州連合(EU)加盟国で6位の経済規模があり、最高の投資格付け「AAA」を保持するオランダで何が起きたのか。

 80年代、天然ガス輸出に依存する産業構造が、資源価格の下落で行き詰まり、長期不況で失業率が10%を超えた。賃金抑制を目指したい経営者側と、雇用維持を図る労組が激しく対立、政府の仲介で話し合いを重ね、1人当たりの労働時間を減らす「ワークシェアリング」を取り入れることで合意した。「痛み分け」という苦肉の策だった。

 その後、パートタイムへの失業給付(90年)、ボーナス支給や職業訓練(96年)など新制度を創設。さらに、00年には従業員が労働時間を自分で変更できる「労働時間調整法」を取り入れたことで、働き方も、人々の意識も変わった。

(中略)

 経済協力開発機構OECD)の調べでは、オランダで働く人の37%が週30時間未満の勤務だ。これは日本の21%、欧州平均の17%よりも随分多い。短時間労働で十分な収入が得られるのか。

 80年代から労働改革を続けてきたオランダでは96年、パート、フルタイムで時給や待遇に差をつけるのを法律で禁じた。同一労働に同一賃金が支払われ、手当や昇進、福利厚生も長時間働く正規労働者と同じ権利が保障された。これを機に、働き方の選択肢が一気に広がった。日本では、パート労働者のほとんどが非正規職員で、正社員と同じ仕事をしても、有期雇用や安易な解雇、厚生年金への未加入など歴然とした差別があるが、オランダにこれはない。

(中略)

 ユトレヒト大のスキッパー教授(労働経済学)は「同一労働、同一賃金」の最大の効果は「高学歴の女性が労働市場に供給され、国の生産性が大幅に高まった点」と言う。オランダの労働時間1時間あたりの国内総生産(GDP)は、日本の約1・5倍。「だらだら長時間働いても、多くは同僚と雑談したり、私用に時間を割かれている」との分析には、思い当たる日本の正社員も多いのではないだろうか。

http://mainichi.jp/feature/news/20130106ddm003040165000c.html

オランダでは、日本と違い、働く時間を自由に選べる制度があるのが特徴です。週35時間以上働く「フルタイム労働」と、それ未満の「パートタイム労働」の権利が一緒のため、全労働者の約半数がパート労働を選んでいます。
(中略)
オランダでは、逆の現象が起きています。1人の女性が一生に子供を産む数を示す合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ)は、95年は1・53でしたが、10年には1・79に伸びました。日本の内閣府(ないかくふ)は「労働時間の抑制で男女の家事分担が進み、働きながら子育てすることが容易になった」と分析しています。「オランダ・モデル」とか「オランダの奇跡(きせき)」と呼ばれています。
(中略)
1日平均10時間以上働く人の割合は、日本の28%に対し、オランダはわずか1・4%しかいません。とはいっても、課題も残っています。多くの企業が管理職(かんりしょく)就任の条件にフルタイム勤務を事実上、求めているためです。企業役員に占める女性の比率も18・5%と、北欧(ほくおう)諸国に比べると低く、政府は懸命に意識改革に取り組んでいます。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130106ddm003070167000c.html