異常な「小沢一郎裁判」は、まだ終わっていない


異常な「小沢一郎裁判」では、当然の無罪判決となりましたが、まだ判決は確定していません。
控訴期限は来月10日です。ぬか喜びにならないことを願っています。


複数の野党およびマスメディアは、まだ「証人喚問が必要」などと主張しています。中世ヨーロッパの魔女狩りと同じで、「小沢の政治生命を断たなければならない」との結論ありきです。


今日の「日刊ゲンダイ」の記事が、「小沢報道」におけるマスメディアの問題を分かりやすくまとめています。
http://gendai.net/articles/view/syakai/136366


週刊朝日」前編集長・山口一臣氏は、ツイッターで「陸山会事件」の本質を述べています。

昨日は本業が忙しくてあまりツイートできなかったけど、小沢判決に対する新聞•テレビの論調は事前の?予言?どおり、「無罪だけどグレー」に始まり、刑事責任と政治責任は別、道義的責任、説明責任は云々、といった言い回しのオンパレードでした。ま、想定の範囲内でしたけどね。
アリバイ的な検察批判はあっても自らの報道を省みる論文が私の知る限りひとつもなかったのは残念でした。どっかやってましたか? それはさておき、どの新聞を読んでも事件の本質がきちんと解説されていないことにも呆れるばかりです。陸山会事件とは何なのか? 答えは簡単明瞭です。
献金の見込みが外れ、別件でやらざるを得なくなった?事件?です。本来なら、裏献金の事実がないとわかった時点で撤退すべき事案でした。裏献金はフロッピー前田に言わせると、検察の一部幹部の妄想で、その妄想による見込み捜査の失敗が、政治と世間をここまで混乱させてしまったわけです。
しかし、そのことをきちんと摘示できている新聞は残念ながらひとつもなかった。本件の見込みが外れて無理矢理つくった別件の事件の重箱をつつくような記事ばかり。新聞の劣化は目を覆うばかりです。例えば、読売新聞社会部長•石井一夫さんの記事「政治とカネ 晴れぬ疑念」にこんなくだりがあります。
〈ただ、間違ってはいけないのは、今回の判決が、元代表の清廉潔白さを保証したものどはないということだ〉。この認識はまったくその通りで、正しいと思います。そもそもこの裁判は小沢さんが清廉潔白かダーティか、金権かクリーンかを問うたものではまったくないからです。
小沢さんが無罪になったからといってクリーンさが証明されたわけではなく、同じように有罪だったとしても、金権•ダーティではないということです。単に小沢事務所の政治資金収支報告の処理が政治資金規正法に照らして妥当だったかどうかということなのです。なにしろ、本件が潰れた別件ですからね。
それを「政治とカネ」といった無意味な言葉で括って、あたかもクリーンかダーティかが争われているかのように世間をミスリードし続けたのが新聞でした。そのことに対する反省がないばかりか、いまも間違った認識を世間に振りまき続けています。困ったもんです。よく考えればわかることなのに。
今回の判決で言っているのは、ひとつは指摘される小沢事務所の政治資金処理は違法だったということです。クリーンかダーティかという話ではありません。単に帳簿処理が間違っていたということです。私はいまでもこんなこと(期ズレ)が違法なのかと思いますがとりあえず裁判所の判断を尊重しましょう。
そして、裁判ではその違法な処理が小沢さんの指示の下に行われたかどうかが争われ、小沢さんが指示してやったといえるほどの証拠はなかった、というだけの話です。これのどこが「限りなくクロに近いグレーな無罪」なのか、私にはさっぱりわかりません。
繰り返しますが、この無罪は小沢さんがクリーンだという話ではありません。同時に、たとえ有罪でも小沢さんがダーティだということでもありません。それを「清廉潔白か金権か」という話にしてしまったのは、メディアの責任だったと思います。それについての反省や検証が見られないのは残念でした。

http://twilog.org/psw_yokohama/date-120428


これを読んでも、まだ「限りなくクロに近いグレーな無罪」だと思うのであれば、以下のWebサイトも併せてご覧ください。


参議院議員・有田芳生さんのブログ記事(元編集者・五十嵐茂さんのコメントも)
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2012/04/post_4358.html
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2012/04/post_4358.html#comment-36752835


日刊ゲンダイ「元検事が衝撃告白 私はこうして冤罪をつくりました」(16日)

「検察問題の背景には、過去の2つの成功体験があると思います。ロッキード事件リクルート事件で、大物政治家を逮捕し、『巨悪と戦う』という特捜神話が生まれるきっかけになりました。しかし、この大金星を挙げたが故、特捜部は国会議員や一流企業といった社会的地位のある人を摘発するために存在するのだ――と自己目的化してしまった。特捜部長などの幹部になると『任期2年の間に打ち上げ花火を上げなければ』とプレッシャーを感じ、ムリをし始めるのだと思います」

http://gendai.net/articles/view/syakai/136178


このブログの以前の記事
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20120223/p1