「占い依存」を生むマスメディアの大罪


昨日、NHKの番組で「占い依存」がテーマのコーナーがあるということで、録画し視聴しました。占い師に毎日電話せずにはいられなくなった人。数十万円もの料金を支払ってしまった人。占いの危険性を改めて認識しました。


それでも、「宗教としての占い」への正確な認識があれば、「占い依存」に陥ることはないはずです。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20120331/p1


占い師にとって、自分に依存する人は「金づる」であり、その依存をより強くし、より長く維持しようとするのは、「利潤の最大化」のためには自然な行動です。
大学院などでの専門教育を受けた心理カウンセラー臨床心理士など)は、「クライエント(相談に来た人)が、できるだけ早くカウンセラーの援助が必要な状態から脱すること」を目標とすべきであることを認識しているはずです。
心理的困難を抱えた人が相談すべき相手は、どちらなのでしょうか。


「道具を使うのは人。薬にするも毒にするも、その人次第。だから、占いは信じても信じなくても良い」などと主張する人もいますが、それは全く不見識であり、無責任と言わざるをえません。「その存在自体が、社会または個人のリスクを確実に高めるもの」があるからです。


銃の所持は、日本で原則禁止されています。もし「道具を使うのは人」などと所持を解禁したら、どうなるでしょうか。殺人および殺人未遂事件が激増することになりかねません。米国の現状に鑑みれば、銃によって失われる命より救われる命が多くなるとは、とても思えません。更に、銃におびえながら暮らさなければならない心理的負担も、相当なものでしょう。


日本のマスメディアでは、しばしば米国を「銃社会」と表現します。しかし一方で、自称霊能者または自称占い師を安易にテレビに出演させ、無批判に占い情報を垂れ流しています。マスメディア(特にテレビ)の各個人への影響力がどれほどのものかについて、あまりにも無自覚だからなのでしょう。
この状況下で、カルトによって、国民の財産、人間関係および人生の貴重な時間が、奪われ続けています。


オセロ・中島知子さんを食い物にした自称元占い師だけでなく、自称霊能者または自称占い師たちに対しては、「『一人カルト』または『ミニカルト』の教祖」または「カルト教祖になりかねない人物」と警戒することが、自分を守ることにつながるのではないでしょうか。


先週、自称霊媒師の敗訴が報じられました。このような事例は、決して珍しいものではないようです。
「個人の問題」で片付けるのではなく、「マスメディアの問題」「社会問題」としてとらえる必要があるのです。

 名古屋市の女性(51)が、悩み事の相談に対し「解決には浄霊が必要」と不安をあおられ、不当に多額の現金を支払わされたとして、熊本市の宗教法人「肥後修験遍照(へんしょう)院」と下ヨシ子主宰者らを相手に、約950万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。


 堀内照美裁判長は「不安を抱えた心理状態につけ込み、継続的に儀式を受けさせた」と述べ、慰謝料などを含め、同院側に計約610万円を支払うよう命じた。


(中略)


 裁判で同院側は、女性はトラブル解決のために自ら訪れていたとして、違法性はなかったと主張。しかし、判決は、同院側が儀式後も「霊に取りつかれている」などと繰り返し説明しており、「不安に陥れたり畏怖させたりする行為は違法と認められる」と判断した。


 下主宰者は、多数のテレビ番組に霊媒師として出演していた。同院側の弁護士は「不当判決で、控訴して争う」とコメントした。


(2012年4月13日22時10分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120413-OYT1T01054.htm