横浜市長辞職の本当の理由は、「開国博Y150」?


先月28日、横浜市長の中田宏氏が、横浜市議会議長に辞職願を提出しました。
後任の市長を決める選挙は今月16日公示、同30日投開票となりました。


中田氏は記者会見で辞職の理由を述べましたが、「腑に落ちない」と感じた方が多かったのではないでしょうか。
なぜ、来年4月に任期満了を迎えるのに、わざわざ任期途中での辞職を選択したのでしょうか。

 国政復帰も視野に改革派市長が任期を残して市政を離れる。28日に辞意表明した横浜市中田宏市長(44)。辞職会見では「財政状況は健全化の軌道に乗っている」と財政改革の結果を総括し、新しい政治活動への意気込みを見せた。ただ、改革の推進力となったトップダウンに対し、職員からは不満の声が上がっていたのも事実。

(中略)

 02年に就任すると、まず市債(借金)の公表を始め、市債の発行を制限。市立保育園民営化や学校給食調理業務の委託▽02〜09年度で6926人の市職員削減−−などでコスト削減に大なたをふるった。他方で税軽減などを盛り込んだ企業立地条例を設けて誘致を図り、税収増を実現。就任前の01年度に約6兆2000億円あった市の借入金は09年度は5兆2000億円(見込み)にまで減った。

 ただ進行中の課題もある。横浜開港150周年の目玉イベント「開国博Y150」の来場者数が伸び悩んでいる。主催する横浜開港150周年協会によると、会期(4〜9月)中の有料入場者数は約500万人を見込むが28日現在、約64万人。会期の約3分の2が過ぎたのに、目標の1割程度にとどまる。イベント予算約120億円のうち約55億円は市の補助金だ。会見で責任の所在を問われた中田市長は「イベントの内容についてはもち屋(協会)が考える必要がある」とかわした。

 人員減の裏で職員のやる気をそいだとの指摘もある。職員約2万2000人に尋ねた満足度調査(3月公表)では、「現場重視の施策立案がなされている」の質問で70・3%、「市長・副市長はトップマネジメントとしての役割を果たしている」では60・7%が「そうは思わない」と回答。幹部と職員の温度差があらわになった。

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090729ddlk14010282000c.html

 横浜市中田宏市長の辞職に伴う市長選の投開票日が29日、衆院選と同じ8月30日と決まった。神奈川県内では、衆院解散後に国会議員が離党した自民党民主党が、衆院選の空白区対策や、10月に予想される、浅尾慶一郎参院議員の衆院くら替えに伴う参院補選の候補者選びに追われている。加えて8月16日の告示まで、半月ほどで横浜市長選の候補も擁立する必要があり、関係者から「こんな投げ出し方ってあるか」と憤りの声も上がっている。

(中略)

 同市で開催中の横浜開港150周年を記念した「開国博Y150」の有料入場者数は、目標(約500万人)の約13%の約64万人。また、中田市長を巡っては昨年12月、元ホステスの女性(31)から、交際をうわさされるなどしたとして慰謝料を請求され、横浜地裁で係争中だ。

 今月17日には、中田市長自身が誘致した来年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催を支援する県内組織が結成され、会長に就任したばかり。こうしたタイミングでの辞職に、市議らの間には、開国博の責任追及を恐れたとの声や、「訴訟が影響した」との見方もあるが、中田市長は28日の会見で、「イベント内容は主催する財団法人などに考えてもらう必要がある」「捏造(ねつぞう)された内容で訴えられた。裁判をちゃんと見てほしい」と弁明。この日も、「(辞職は)横浜市にとって何がプラスか判断した」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090729-OYT1T01031.htm?from=top


中田氏は、もともと2期8年で辞職するつもりだったようです。
横浜市が50億円以上もの補助金を注ぎ込んだ「開国博Y150」の入場者数が低迷しているので、その責任を追及され、イメージが傷つく前に辞めようと考えたのでしょうか。
「今月の衆議院選挙には立候補しない」と言っていますが、立候補の可能性は十分にあると思います。遅くとも、来年の参議院選挙には立候補するのでしょう。


初めて立候補した横浜市長選挙で、中田氏は「衆議院議員時代、1年365日、毎日欠かさず街頭演説を続けてきた」とし、それを自分の業績であるかのように主張していたのですが、むしろ私は「国会が開かれている日も街頭演説を行なうことは、議員本来の活動をおろそかにし、選挙で当選することばかりを優先していたのでは」と思っていました。


話術の巧みさを持っているので、テレビ出演を通して「改革派」というイメージを植え付けることに成功した人物だと私は見ていました。
中田氏ばかりでなく、大阪府知事及び宮崎県知事等についてマスメディアは「大物政治家」であるかのように取り上げています。そのまんま東氏は、すっかり「その気」になってしまって、自民党総裁の座を要求したのでしょう。


マスメディアによる虚像で動く政治は危険です。
横浜市長選挙と同日の衆議院選挙では、本当に国民の利益になる選択がなされなければなりません。