血液型性格判断(7)


先月、血液型性格判断に関する記事が「R25」及び「東京新聞」に掲載されました。

流行っているのは日本だけ!?(掲載日 2009.03.19)
日本人はどうしてこんなに血液型診断が好きなのか?

血液型別に行動や性格を分析した『自分の説明書シリーズ』が累計540万部を突破するなど、根強い人気の血液型診断。僕らが幼いころから日本では「A型の人は几帳面」など、血液型ごとにステレオタイプな性格イメージが定着している気がするけれど、これっていつごろ生まれたんだろう?

「血液型が発見されたのは1900年で、それから約20年間世界中で“血液型と性格”についての研究が行われました。その研究結果を参考に、心理学者の古川竹二氏がまとまった学説にして発表したのが、1927年のこと。今でこそ血液型診断は“遊びの一種”として親しまれていますが、1920年から1930年代にかけては“学問的に根拠のある説”として考えられていたんです」と語るのは、帯広畜産大学・大学教育センターの渡邊芳之教授。

この古川学説は、1930年代に入ると医学者を中心に批判を浴び、消えてしまったとか。しかし、能見正比古という作家が同学説を参考にして、独自の「血液型人間学」についてまとめた本を1973年以降に続々出版し、第一次血液型ブームを巻き起こしたという。でも、こんなに血液型診断がブームになるのって日本だけ?

「血液型ブームは4つのタイプが絶妙なバランスで存在する日本だからこそ、成立するものだと考えられます。日本人は、A型が約40%、O型が約30%、B型が約20%、AB型が約10%と、比較的どの血液型もまんべんなくいます。でも、外国では血液型の分布がかなり偏っていることの方が多いんですよ。たとえば南米のグァテマラでは、O型人口が全体の95%を占めています。こうなると血液型で性格を診断する意味がありませんから、まず流行らないでしょうね。また、日本人は他人に気を使い過ぎる傾向があるので、そのぶん他人の性格や自分との相性が気になるのではないでしょうか」(同)

なるほど。科学的根拠がなくても、血液型診断が流行るのにはちゃんと理由があったんですね。

http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/1112009031914?vos=nr25an0000001


血液型性格判断は日本だからこそブームになる」という指摘は重要です。
アメリカ先住民では大多数がO型であり、世界的にO型が多いことを鑑みると、血液型性格判断という迷信が受け入れられる国又は地域は限定されるということなのです。


記事に添付された画像(表)によると、「韓国台湾日本と比率は異なるものの、日本の雑誌を読んでいる人が多いため、血液型診断のことは広く認知されている」とのこと。
血液型性格判断を日本から輸入した」という以前の記事での私の仮説は、やはり当たっていたようです。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/searchdiary?word=%b7%ec%b1%d5%b7%bf%c0%ad%b3%ca%c8%bd%c3%c7


帯広畜産大学教授・渡邊芳之氏のWebサイトは、このブログの以前の記事で取り上げたWebサイトにリンクがありましたが、ここで改めて紹介しておきます。
http://www.obihiro.ac.jp/~psychology/abofan.html
http://www.obihiro.ac.jp/ichiran/watanabe_yoshiyuki.html

【社説】
週のはじめに考える 血液型では決まらない
2009年3月8日

 またぞろ血液型性格診断がはやっています。単なる遊び心だからなどと擁護する人もいるでしょうが、差別や偏見、思考停止につながらないか心配です。

 血液型と結婚を結び付けたテレビドラマが先月下旬、四夜連続で放送されました。

 A、B、O、ABの四つの血液型の女性をヒロインに結婚への道をコメディータッチで描いた作品です。気になったのは血液型で性格を決定づけていることです。

 A型「安定志向」、B型「好奇心旺盛」、O型「おおらか」、AB型「マイペース」といった具合です。典型的な類型化です。

◆ベストセラーに4著書
 「血液型による性格診断」が受けたのはドラマだけではありません。昨年の年間ベストセラー(トーハン調べ)十位までの中に血液型による「自分の説明書」と題する書物四冊が入っています。出版した文芸社によると、合計発行部数は五百万部を超えるそうです。

 同書に基づくと、四つの血液型の特徴は次のようになります。

 A型 神経質な完全主義者であるが、心配過敏性的である

 B型 陽気であるが、風変わりで自己中心的である

 O型 好奇心が強く寛容であるが、頑固な面もある

 AB型 芸術家的であるが、謎めいていて予測がつかない

 先のドラマの分類とは少し違っているようです。誰かの血液型と照らして「そうだな」「違うな」などと思う人がいるかもしれません。ちなみに、麻生太郎首相、福田康夫前首相はA型、安倍晋三元首相、小沢一郎民主党代表はB型です。当たっていますか。

 こんな血液型性格診断ブームを米誌「NEWS WEEK」電子版(二月一日号)が皮肉っぽく紹介し、こう指摘しています。

 「日本では血液型は結婚相談所から職業の決定に至るまで決定的な役割を持ち、いかに科学的に反論しても歯が立たない」

 実際に、血液型を結婚の相性テストに使ったり、従業員に仕事を割り当てる場合に利用したりする会社があるそうです。園児のクラス編成に使用する幼稚園もあるといいます。

 北京五輪で金メダルを獲得したソフトボールチームが練習する際に、選手の血液型を一つの情報として考慮していたこともエピソードとして挙げられています。

 でも、日本でどうしてこれほど血液型性格論がはやるのでしょうか。二〇〇七年秋にNTTナビスペースが「血液型による性格の違いあると思いますか?」という調査をした結果、七万を超す回答者のうち女性の63・1%、男性の47・3%が「ある」と答えました。

◆冗談ではすまない欧米
 もともと回答者に血液型占いなどを楽しんでいる人が多かったのでしょうが、驚きの数字です。

 血液型と気質の関連を科学的な研究対象にしようとする試みは、昭和の初期から医師や学者によって行われてきましたが、結果的に科学的な差異が認められなかった経緯があります。先の米誌の記事の中で菊池聡信州大准教授(心理学)は、こう言っています。

 「血液型は血液中のタンパク質によるものであって、性格とは何ら関係ない。血液型性格論はえせ科学であり、その考えは人間理解の妨げになり、人種差別主義と同じようなものである」

 欧米では血液型の話は冗談ではすまされません。第一次世界大戦後のドイツで、ナチスユダヤ人迫害のスローガンとして「純粋なアーリア人の血をユダヤの血で汚すな」と呼びかけたとされます。「血で人が異なる」という信念が強調され、アウシュビッツにつながる民族大虐殺が行われたことを連想させるからです。

 血液型性格論が与える最大の問題点は、人にレッテルを張ったり、決め付けたりすることです。これは差別や偏見の入り口となります。本人の能力や資質とは無関係の論点だからです。

 テレビやパソコンサイトで血液型性格論を盛んに伝えるマスメディアの影響も大きいものがあります。こういう情報を頼りにして、深く考えることを避ける傾向が強いのも最近の特徴でしょうか。

◆輸血にしか役立たない
 血液型性格論に限りません。ものの見方が単純化し、雑ぱくになった人が増えた感があります。

 テレビでクイズ番組が受けるのも、手っ取り早く答えを見つけたい人の多い表れではないでしょうか。

 経済危機や政治の混迷を打ち破るには、将来ビジョンを描くリーダーや政治家が欠かせません。

 総選挙を前に、それには誰がふさわしいのか、じっくり自分の頭で考えたいものです。血液型は輸血にしか役立ちませんが、人間を見るための判断材料なら山ほどあります。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009030802000070.html


まさに「差別や偏見、思考停止に」つながりかねないことが、血液型性格判断の最大の危険性です。
「NEWS WEEK」が日本の血液型性格判断ブームを取り上げ、「日本では血液型は結婚相談所から職業の決定に至るまで決定的な役割を持ち、いかに科学的に反論しても歯が立たない」と指摘していたようですが、多くの外国人からは奇妙な宗教的思想にしか見えないでしょう。
「欧米では血液型の話は冗談ではすまされません」とありますが、その通りでしょう。
変人を通り越して危険人物と思われるかもしれません。


同じく先月、プロ野球のチームを血液型で分析した「日刊スポーツ」の馬鹿げた記事も公開されていますが、マスメディアには、東京新聞のように血液型性格判断の危険性をよく認識してもらいたいものです。
http://www5.nikkansports.com/baseball/hamban/02takayama/20090329_76975.html