中立性幻想


日本社会には、政治又は宗教に関する情報をやたらに日常生活から排除する傾向があります。
それは、善意の名を借りた思考停止によって行なわれているように見えます。


ある人が特定の政党に属し又は特定の宗教を信奉していれば、直接政治又は宗教と関係が無い仕事でも依頼しない。
政治又は宗教に関する立場が同じ人ばかり集まっている状況以外では、政治又は宗教に関する話題を避ける。


特に、マスメディアの対応には相当問題があります。
田中真紀子そのまんま東及び橋下徹等の特定の政治家、並びに江原啓之及び細木数子等の特定の宗教家を毎日のようにテレビ番組等で無批判・肯定的に取り上げておきながら、ジャーナリスト・有田芳生さんのように選挙に立候補した経験のある人又は立候補する予定の人を政治とは直接関係無い番組等からも排除する。
それなのに、自分たちは中立だとうそぶく。
全く馬鹿げています。


これこそが、日本の政治を堕落させ、腐敗させた主因のひとつでしょう。
選挙でいつ職を失うか分からないというリスクがあり、しかも従来からの仕事まで取り上げられては、どうなるでしょうか…
有能な人材及び高い見識を持つ人材が議員になろうとすることを阻害し、「ろくでもないような議員」「世襲議員」ばかりになってしまうのではないでしょうか。


有田さんは、テレビの仕事の方が国会議員より稼げるのに、「日本社会の惨状を見て見ぬふりはできぬ」と国政に携わって世直しを目指そうとされる方です。
しかも、民主党からの誘いを断り、知名度、資金力、組織力に極めて乏しい新党日本を敢えて選ばれたので、過酷な闘いを強いられています。
それは、私利私欲のためではないことの証明でもあります。


世界中に、政治、宗教、思想について、様々な立場の人が居ます。
「政治、宗教、思想に関して全く偏りが無い」と考えている人が居たとしても、それはそれでひとつの立場です。
「完全に中立な人間が存在する」と考えるのは、幻想でしかありません。


日本ほど、社会の変革に主体的に関わろうとする人が少なく、カルトと呼ばれる宗教への「免疫」を持たない人が多い社会は世界中に他には無いのではないでしょうか。
それこそが、自己満足的な「中立性幻想」がもたらした結果でしょう。