ワークシェアリングとフレキシキュリティ(1)


先月、弁護士・滝本太郎さんが、ブログで「ワークシェアリング」について取り上げられていました。
http://sky.ap.teacup.com/takitaro/729.html
http://sky.ap.teacup.com/takitaro/730.html

うーん、まずは企業側がワークシェアリングに反対なんだろう、と思います。
少ない人数を長時間働かせた方が、そりゃ厚生費も事務費も少ないし、何より業務の増減に対応しやすいですから。

それを変えさせるのは、時間規制の強化、日本ではまずは時間外労働について25%ましではなくもっと、とか。今次の改正で60時間でしたか超える場合は50%増しとか決まるみたいですが、あまりに不十分。長時間労働・過労死をさせようとするようなもの

で、組合も、「企業内組合」という日本の特質が、ワークシェアリングを阻害してますよね。企業を超えた組合が、単位組合として基本になっていかないと、たしかにワークシェアリングの阻害要因になります。

で、派遣や期間労働者は、やはり別の組合を作って、広く強くこれを呼びかけていくのが必要なんだろう、と思います。

いまでメディアでも「ワークシェアリング」ということ場が殆ど出ていないのが不思議で仕方がないです。

まあ記者らも、企業内組合ですねぇ。

http://sky.ap.teacup.com/takitaro/729.html#comment


「正規」労働者が過労死、「非正規」労働者がワーキングプアという現状を改善するにはワークシェアリングは有効な処方箋だと、以前から考えていました。
ワークシェアリングを導入しよう」という声が高まらないのは、「導入すると企業の国際競争力が低下してしまう。それでは本末転倒だ」と決め付けている人が多いのかなと思っていました。
官公庁関係のWEBサイトでも、ワークシェアリングについて掲載しているものは、あまり無いようです。
http://www.work2.pref.hiroshima.jp/docs/2850/C2850.html


しかし、現状は深刻です。ワークシェアリングを社会全体で真剣に検討しなければならないのではないでしょうか。
滝本さんのご指摘と重なりますが、労働者が企業横断的な労働組合を結成し、マスメディアを通してワークシェアリング導入の検討を社会に呼びかけることが必要だと私も思います。


ワークシェアリングについては、オランダでの事例が参考になります。
少子化対策にもなりそうです。
以下、関連WEBサイトをご紹介します。


社団法人家庭問題情報センター
http://www1.odn.ne.jp/fpic/familio/familio030_a.html


東海大学教授・篠原正人氏
http://pws.prserv.net/shino/masato/work/kyoto.htm


同じくオランダでの「フレキシキュリティ」について、先月の「NHKスペシャル」で取り上げていました。
「フレキシビリティ」(flexibility、雇用調整の柔軟性)と「セキュリティ」(security、社会保障)を組み合わせた造語です。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081215.html


独立行政法人労働政策研究・研修機構」のWEBサイトでデンマークフレキシキュリティについて紹介されていますが、オランダでの事例と類似しています。
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum072.htm


このフレキシキュリティも一種のワークシェアリングでしょう。
方法次第で、国際競争力とひとりひとりの幸福は両立可能だと思います。


ジャーナリスト・有田芳生さん(新党日本副代表)も、ブログで「所得保障(お金の支給=年金、生活保護など)よりも公共サービスの提供(教育、介護、教育訓練)に力点を置くスウェーデンデンマークフィンランドなどの方式に転換できないか」と述べられています。
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2009/01/post_67b3.html


自民党政権はワークシェアリングフレキシキュリティも検討するとは思えませんが、政権交代が行なわれ、早急に国会で議論されることを希望します。