ジャーナリスト・有田芳生さんの「有田塾」(3)


昨日開催されたジャーナリスト・有田芳生さんの第4回「有田塾」、講師は森達也さんでした。
オウム真理教をテーマにした映画「A」「A2」などで知られる映画監督、ドキュメンタリー作家です。


以下は、森さんの講演で特に印象に残った部分です。

地下鉄サリン事件の後、社会に『オウム真理教は凶暴・凶悪』『オウム真理教は洗脳されたロボットのような信者の集団』『オウム真理教は悪、自分たちは善』と思いたいという風潮があった」
「『オウムの信者も普通の人間だ』ということを明らかにする映画を撮った自分は危険視された」
「戦争の場で、人は、『愛する人を守るため』などのような正義感、善意、大義のために、大勢の人を殺す。『正義感、善意、大義』があれば、歯止めが無くなってしまう。悪魔ならぬ『善魔』だ。実は、オウムもそれと同じ」
オウム事件は、『善意の怖さ』に気付くチャンスだった。でも、マスメディアが善悪二元論の枠組みから出ることは無かった」


インターネットでは、森さんへのインタビュー記事をいくつか見付けることができます。
昨日の講演の内容と重なる部分のある記事を、以下ご紹介しておきます。

http://www.hmv.co.jp/news/article/802100001
http://www.loft-prj.co.jp/interview/0203/13.html


有田さんからも、地下鉄サリン事件後の出来事について、興味深いお話がいくつもありました。
「『毎日50名程度の警官が外出先でも自分の周辺を警戒していた』ということをだいぶ後に警察から聞いたが、それには当時全然気付かなかった」
「自宅近くの幼稚園が休園になった。『有田が近くに住んでいるから』という理由だった。街では『頑張ってください』と声を掛けられることが多かったが、近所の幼稚園では全く異なる対応をとる。この落差は何なのだろうと思った」


また、有田さんからは、
「街頭演説をしているとき、『頑張ってください』と言われると嬉しいのだが、『一緒に頑張りましょうよ』と言いたい気持ちにもなる」
「せめて投票に行っていただきたい。投票率が5%上がるだけでも、社会は劇的に変わる」

というご発言もありました。


私は、以前から、有田さんのブログに「頑張ってください」「期待しています」などとコメントを投稿する人が少なくないことが気になっていました。
それらは、「自分は何もしない」「全部他人(有田さん)任せにする」と宣言しているようにも解釈できるからです。


「有田塾」終了後、有田さんと一緒に、練馬に移転した新党日本の「東京都第一支部」に初めてお邪魔しました。


そちらに向かう途中の会話では、「『頑張ってください』は、『こんにちは』などの挨拶と同じようなもの」即ち決まり文句だとも有田さんはお考えになっているようでした。
確かに、「具体的に何かをする」ということを決められないうちは「頑張ってください」というのが言い易い言葉なのかもしれません。


「東京都第一支部」は、去年の選挙事務所同様、決して広いとは言えないスペースですが、小綺麗なオフィスでした。
有田さんはなかなか事務所に立ち寄る時間が無いとのことでしたが、平日の日中は、スタッフのどなたかが大抵いらっしゃるそうです。