日本の食料自給率、本当は低くない?
今年8月のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」を見て驚いたのですが、先週の産経新聞Webサイトでも取り上げていました。
スーパーで買い物をすると、野菜売り場には国産野菜、卵売り場には国産卵が並び、コメ売り場はもちろん国産米ばかり。これだけ国産がありながらなぜ自給率がたった40%なのか?
この40%というのはカロリーをベースとした自給率。このカロリーベース自給率では、すべて国産である牛乳の自給率がたった41%となるなど、日本農業の現状より数字が低く出るという数々の短所があるのだ。
さらに自給率には実は表に出ないもう一つの数字「金額ベース」がある。
金額ベースで計算すると自給率は66%と7割近く、しかも先進国で最低ではないのだ!日本農業の現状を表さない「自給率40%」を前面に出し、食糧自給危機を強調する農水省。
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/contents/backnumber/0328/
その裏側にある本当の思惑を追った。
41%−。農林水産省が今年8月に発表した平成20年度の日本の食料自給率(カロリーベース)だ。農水省は食料安全保障の立場から、自給率アップの必要性を説き、「50%以上がのぞましい」との目標を掲げている。
(中略)
「カロリーベースの食料自給率は何も意味していない」と断言するのは、東京大学大学院農学生命科学研究科の川島博之准教授だ。
(中略)
「カロリーベースの食料自給率は、農水省が国民の危機感をあおり、税金から補助金を出させるために作り出した道具に過ぎない」
(中略)
カロリーベースの食糧自給率は「1人1日当たり国産供給熱量」を「1人1日当たり供給熱量」で割った数値だ。20年度の「1人1日当たり国産供給熱量」は1012キロカロリー、「1人1日当たり供給熱量」は2473キロカロリーだ。1012を分子とし、2473を分母として求めたのが、同年度のカロリーベース食料自給率である41%だ。
しかし、ここで言う「供給」とは“消費”であり、“摂取”ではないことを見逃してはならない。つまり、農水省が算出した2473キロカロリーという数字は、日本人1人が1日間に“摂取”した食料の熱量ではなく、市場で商品として“消費”された食料の熱量を意味しているのだ。
(中略)
「贅沢で浪費をしている現代日本の食生活を前提としている」と政府が発表しているカロリーベースの食料自給率の計算式に疑問を呈するのは、NHK元解説委員で農業評論家の加倉井弘氏だ。「たくさん浪費し、贅沢な食生活の中で、国産の食料は41%だと言っているに過ぎない。食糧安保の話をするとき、われわれは贅沢三昧の生活を保障しろとは言っていない」と指摘し、飢えを意識させる食料安保の指標とすることに反対する。
(中略)
カロリーベースの自給率を算出しているのは、同課が知る限りでも、日本と韓国しかない。他国の数値は、日本の農水省が国連食糧農業機関(FAO)の資料に基づき、独自に算出したものだ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091108/biz0911081800001-n1.htm
「サンデープロジェクト」によると、日本は食料自給率を「カロリーベース」で算出しているが、ほとんどの国では「金額ベース」方式を採用しているとのことでした。
カロリーベースでは、野菜等の低カロリーの食料の生産があまり反映されない。
金額ベースでは、為替レートの影響が大きく反映される。
ふたつの方式は一長一短なので、どちらも用いることが必要なようです。