バカ正直な前原大臣、二枚舌の森田知事


最近、国土交通大臣前原誠司氏の顔をテレビで見ない日はありません。
鳩山政権の閣僚では、マスメディアでの「露出度」ナンバーワンでしょう。
八ッ場ダム工事中止、日本航空再建、沖縄米軍基地移転…
多くの課題が、前原氏の担当になっています。
「偽メール問題」で民主党代表を辞任してからは、あまり目立つ行動はしていなかったようですが…
しかし、重責を担う前原氏の発言には、以前から危なっかしさを感じています。


八ッ場ダム問題では、現地視察の前に「工事中止」を宣言してしまい、多数の地元住民等の反感を買ってしまいました。
「総選挙でのマニフェストで国民に約束したから」というのが理由ですが、当然のことながら、状況は日々刻々と変わります。
「状況の大きな変化」「公約の前提条件の変化」があれば、マニフェストで打ち出した政策は堂々と実現しないで構わないものだと思います。
マニフェストは必ず実現しなければならない」では、わざわざ自分の手足を縛るようなものです。
建設推進派の心情を考慮しても、初めから「中止の結論ありき」は不適切でした。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091020ddm001010011000c.html


北方領土問題でも、「ロシアの不法占拠」と発言したことにロシアが批判声明を出しました。
来月の日露首脳会談を前に、北方領土交渉をやりにくくすることになりかねません。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091021k0000m010037000c.html


「こうあるべきだ」「こうでなければならない」と自分の考えを正直に主張することによって、それとは全く逆の方向に現実が動いてしまうことがあります。
そのことを、前原氏は理解していないのではないか。以前から、そう思っていました。


今日発売の週刊文春には、「前原氏は、自分が『正しいこと』を言えば他者も賛成してくれると考えている」という同僚議員の前原評が掲載されていますが、その通りなのでしょう。
野党時代、民主党の政策を批判するような発言もありました。
その批判が正しいとしても、民主党が政権を獲得できなければ自分の考えを実現することは困難です。
民主党の足を引っ張っても「正しい」と思うことをバカ正直に言うのは、カタルシスが得られるかもしれませんが、机上の空論に等しいのです。


不登校ひきこもりの家庭の状況を連想しました。
親が子に「学校に通え」「仕事を見付けて働け」と言えば言うほど、不登校・ひきこもりの状態が長く続き、マスメディアで報じられるような事件になることさえあります。
現実に社会参加できるようになるための手段を親が提示せず、自分の思いを子にぶつけることが要因でしょう。
子が「どうすれば社会参加できるのか分からない」のに、親がただ「社会参加しろ」と言うだけでは、状況は悪化するだけです。
「子のために言っている」と親は正当化するのでしょうが、「カタルシスを得たい」という欲求に基づく発言は「親自身のため」であるはずです。自分の心を正視していないのです。




話は変わりますが、千葉県知事・森田健作氏も、羽田空港問題に関して連日メディアを賑わせています。


国土交通大臣・前原氏の発言に対して威勢よく「冗談じゃない」と憤った記者会見の様子を何度も見ましたが、その森田氏が衆議院議員時代に「羽田空港の国際空港化」を求める趣旨の国会質問を行なっていたことなどが明らかになっています。二枚舌もいいところです。
以下のWebサイトでの動画には、笑ってしまいました。
http://montagekijyo.blogspot.com/2009/10/10.html

 前原誠司国土交通相の羽田ハブ空港化発言にからみ、森田健作知事自民党衆院議員時代、羽田空港の国際空港化を選挙公約に掲げ、国会で積極的に活動していた。知事は12日の国交相発言を受けて13日は「冗談じゃない」と怒ったが、14日の国交相との会談後は「大臣の真意を聞き安心した」と語り、大きな振幅を見せた。知事の“真意”がどこにあるのか、議論を呼びそうだ。【奥村隆】

 森田知事は、新井将敬氏の死去に伴う98年3月の衆院東京4区(大田区中南部)の補選に自民党公認で立候補。地元の羽田空港の国際化を公約に掲げて初当選した。

 00年4月28日には、当時の衆院運輸委員会で羽田空港成田国際空港の役割分担について質問。「国際空港は国の玄関。成田空港は現在4000メートルの滑走路が1本のみで、暫定滑走路がうまくいったとしても2500メートル。大所高所に立って国益を考えれば、どちらが国際空港だとかで争っている場合ではない。せっかく羽田空港が24時間になったのだから利便性を考えて補完したらどうか」と、羽田の国際化を要望した。

 これに対し運輸政務次官は「羽田の深夜、早朝の国際チャーター便就航について検討を進めている」と答弁。森田氏は「大田区から成田に行く時間で韓国に着いちゃう。言うならば時間を効率的に使いたいという部分もある」と指摘した。

 森田氏はその後も委員会で数回羽田の国際化を取り上げ、同年11月15日の同委員会では「千葉県の皆様の言いたいことは本当によくわかる。しかし、これからは21世紀に向けた国益というものを考えてやっていかないとまずいのではないかなと思う」と述べた。

 一方、森田知事は今年3月の知事選で、マニフェストに次のようにうたった。「成田空港は日本を代表する表玄関としての地位を確立した。しかし、国際社会における地位は決して盤石とは言えない。今後、羽田空港の発着回数が大幅に増加されるなど成田空港の存在価値は危うくなる一方だ。国際競争力の維持のためにも飛行ルート変更や騒音問題などについて地元との連携を図り、年間発着回数を30万回まで引き上げることを推進する」

http://mainichi.jp/area/chiba/news/20091016ddlk12010220000c.html


森田氏の千葉県知事当選直後にも、このブログに森田氏を批判する記事を投稿したのですが、完全に化けの皮がはがれてしまいました。
知事選で、肩書を「無所属」ではなく「完全無所属」とした森田氏。
わざわざ「完全」を付けたのに自民党支部長だったことが当選後に発覚し、記者会見で釈明する態度に誠意は感じられませんでした。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20090331/p1


森田氏が役員を務める「日本教育再生機構」は、「はてなキーワード」によると「新しい歴史教科書をつくる会」の内紛により同会を離れた人々により結成されたようです。私がメインブログ「不登校・ひきこもり」で批判している「長田百合子」が理事長を務める「日本家庭教育再生機構」のWebサイトで「連携団体」として紹介されています。
http://www.nihonkateikyoikusaiseikiko.com/annai.htm


「日本家庭教育再生機構」に推薦文を寄せた中條高徳氏も「日本教育再生機構」の役員です。
http://www.nihonkateikyoikusaiseikiko.com/komon.htm
http://www.kyoiku-saisei.jp/kiko/kiko.html#k03


日本教育再生機構」の役員には、民主党の「獅子身中の虫土屋敬之氏も名を連ねています。
http://blog.livedoor.jp/votunez/archives/925237.html


土屋氏が支持する都知事石原慎太郎氏は「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長で、「戸塚ヨットスクール」(校長:戸塚宏)が加盟する「体罰の会」の今年6月のシンポジウムに石原氏とともに参加した高橋史郎氏は、長田百合子の「日本家庭教育再生機構」の筆頭顧問になっています。
http://blog.livedoor.jp/psw_yokohama/archives/51598591.html
http://taibatsu.com/wn/topics.cgi
http://www.nihonkateikyoikusaiseikiko.com/komon.htm


森田健作長田百合子石原慎太郎戸塚宏土屋敬之中條高徳及び高橋史郎が、ナショナリズムという「友達の輪」でつながっているのでしょうか。
「高邁な理想」「大義名分」を掲げていても、実際は「自分の利益」にしかならない行為を続けているようにしか見えません。


ナショナリズムについては過去に取り上げていますので、よろしかったらご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20090308/p1
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20080808/p1
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20070806/p1