日本人の起源と「人類大移動」 (2)


今月5日放送のNHKサイエンスZERO」は、人類の起源及び拡散の歴史がテーマでした。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp228.html


昨年も「日本人の起源に迫る」と銘打って同様の内容の放送があったのですが、今回は人類全体の「世界中に拡散する経路」を詳細に取り上げていました。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp184.html


壮大な人類の旅。
非常に興味深い内容ですが、覚えきれないので「自分用の記録」として以下まとめておきます。




ヒトの細胞のミトコンドリアDNA塩基配列は、基本的に母から子へ同じ型が受け継がれるが、突然変異により様々なタイプに分かれていった。
人類全体のミトコンドリアDNAのタイプは、「L0」「L1」「L2」「L3」という4つのグループに大別される。
そのうち、「L3」の一部以外は、全てアフリカ人で占められる。これは、旧人新人ホモ・サピエンス、現生人類)に進化したのはアフリカであり、その後もかなり長期間アフリカでのみ暮らしていたことを意味する。


現在のヒトのミトコンドリアDNAのタイプは、地域によって分布が異なるが、分布している地域が近い複数のタイプの「共通祖先が発生した場所」を推定できる。
「共通祖先の共通祖先が発生した場所」と次々と遡ることによって、人類の移動経路も推定できる。


新人ホモ・サピエンス)は、15万〜20万年前、アフリカ東部で発生。
6万〜7万年前、紅海を渡ってアフリカを出る。
その「出アフリカ」は1回から数回、わずか150〜2000人程度の規模と考えられる。
その人々は、海岸線沿いに南アジア東南アジアを経由して、5万年前にはオーストラリアに到達。
南アジアから北西に向かった人類は、およそ4万年前にヨーロッパに到達。
東アジアへのルートは、南アジアから中央アジア経由と東南アジア経由のふたつがある。
日本列島には、2万年以内に南方、朝鮮半島、北方の3経路で流入し、縄文人になった。
およそ2万年前、ベーリング海峡に到達した人類は氷河に行く手を遮られ、その辺りで数千年を過ごし、氷河が溶け始めた1万数千年前、北米大陸に渡り、太平洋の海岸線沿いに南米大陸の最南端に到達。
「旅」の最後はオセアニア。約6000年前、台湾の人々がフィリピン経由でメラネシアニューギニア島へ。メラネシアを東へ移動し、約3000年前にフィジー諸島などへ。更に、約1500年前にポリネシアハワイ諸島及びイースター島ラパ・ヌイ島)へ。


昨年、チリの遺跡から出たニワトリの骨がポリネシア由来だったことから、コロンブスの「新大陸発見」以前に、ポリネシアと南米の間に交流があったことが分かった。


ミトコンドリアDNAでは母方の祖先が分かるが、Y染色体のDNAからは父方の祖先が分かる。
「常に男女が同程度の人数で移動した」とは限らないので、Y染色体のDNAも調べる必要がある。


南米大陸全体での先住民族のDNAを持つ人の割合は、ミトコンドリアDNAでは82.8%だったのに対し、Y染色体ではわずか8.6%だった。
Y染色体先住民族のDNAを持たない人の父方の祖先は、大航海時代以降南米に入ったヨーロッパ系(侵略者)又はアフリカ系(奴隷)の人々である。
比較的「南米以外」からの影響が少ないと見られていたペルーの山岳部の住民でも、同様の傾向があった。
先住民族のDNAを持つ人の割合は、ミトコンドリアDNAでは94.2%だが、Y染色体では46.0%しか居なかった。