自殺を減らすためにも、すぐにでも労働時間を規制し、ワークシェアリングを導入しよう


長時間労働鬱病、過労死及び過労自殺の要因であることは明らかです。
現在の異常と言わざるを得ない日本社会の労働環境の問題及び問題解決の処方箋について、備忘録として関連Webサイトの情報をまとめます。

 過労自殺に過労うつ、精神関係の労災というのは、ここしばらく増え続け、過去最高を毎年更新しています。要因ですが、過労うつ、過労自殺の認定基準が緩和されて、これまでほとんど認定されなかったのが認定されやすくなった事情が、1つあります。それにしても、過労うつ、過労自殺というのは、過労死を含めて毎年過去最悪を更新する状況が続いています。

 過労死についていえば、一番大きな要因は、長時間労働に尽きます。過労うつ、過労自殺に関しても基本的には長時間労働があり、さらにそこから派生する社内的なストレス、パワハラ、セクハラ、いじめ、あるいは成果主義による企業内の競争意識の高まり、そういったものが非常に大きな要因として見られます。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090701/164291/


この発言を行なった毎日新聞記者・東海林氏による、精神疾患及び自殺の労災認定基準の見直しを報じた記事(今年4月)がありました。
いわゆる「パワハラ」の項目が追加されたこと等の改善があっても、超長時間労働との因果関係を考慮していないことは問題でしょう。

精神疾患、自殺の労災認定基準が10年ぶりに見直されました

(中略)

精神疾患の労災は、99年に作成された「心理的負荷評価表」に基づいて審査される。表には(1)「ノルマが達成できなかった」など仕事の失敗(2)仕事の量の変化(3)「転勤した」など役割の変化(4)「セクシュアルハラスメントを受けた」など対人関係のトラブル−−など七つのカテゴリーの職場での出来事を記載。出来事ごとにストレスの強さを「弱」「中」「強」の3段階で評価する。さらに、その人が職場外で経験したトラブル(離婚など)についても同様の3段階で評価し、仕事が原因かどうかを総合的に判断する。

(中略)

今回の改定で新たに12の具体的な出来事が追加された。

 注目されるのは、「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」の項目で、ストレスは「強」と評価される。これまでは上司とのトラブルやセクハラなどの項目に含められ、評価も「中」だった。リストラを目的に隔離部屋で働かされることや、上司の暴言、無意味な作業を延々やらせるいじめなどが問題化し、強い評価となった。

(中略)

「一定の前進だが不十分」との指摘もある。過労死と言われる脳、心疾患の労災では月80時間以上の残業が目安とされているが、今回の見直しでは精神疾患や自殺に関する同様の目安は示されなかった。過労死弁護団は「過重労働と精神疾患の関係は厚労省の研究でも明らかで、それを明確に位置づけた改正が求められる」と指摘。また、労災申請を支援する市民団体は、評価する出来事を発症前6カ月に限っている点を問題視する。団体関係者は「過労自殺などでは、発症後の出来事が自殺に結び付くケースが多い。その評価が必要だ」と話している

http://mainichi.jp/life/job/navi/archive/news/2009/20090420ddm013100037000c.html


いわゆる「先進国」では最も遅れている日本の労働環境(特に労働時間)について、NHKが今年5月及び6月に取り上げています。

ILOの条約は、働く人の権利を守ったり、労働条件をよくしたりするために、これだけは守るべきだという最低限のルールを定めたもので、合わせて188。たとえば、雇用の差別を禁止する条約、労働時間の規制に関わる条約などがあります。

【質問2】日本はこれまでにどのくらいの条約を批准しているのでしょうか?

大変、少ないんです。これまでに批准した数は、先進国の中でも最低レベルで、48。条約全体の4分の1に過ぎません。とりわけ、労働時間に関する条約、合わせて17本あるんですが、日本は1本も批准していない先進国でも稀な国なんです。

【質問3】なぜ、批准できないのですか?

日本の労働法制が国際的な基準から立ち遅れているからです。批准しようにもできないわけです。たとえば、一日の労働時間。日本の法律では一日8時間ということで、この「原則」ではILOの条約と一致するんですが、残業については、ILOが「どうしても必要な緊急のときに限る」としているのに対して、日本では「労使の協定で認められる」として、いわば合法的に長時間労働を認める形になっているんです。その結果、たとえば年間の総労働時間、日本はドイツに比べて460時間も長くなっていますし、過労死、過労自殺など他の国にはない日本特有の問題を生み出すことにもつながっているんです。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/19728.html

今回の雇用危機で明らかになったのは、他の先進諸国に比べて、日本の場合、働く人たちを守り、大切にするためのルールがあまりにも脆弱だということでした。その結果、たとえば、仕事とともに住まいまで失う人たちが大勢、出るなど、経済危機による影響はより深刻なものになっています。今、必要なのは、当面の景気を下支えする対策だけではなく、国民が豊かさを実感でき、次の世代につながるような改革にも合わせて取り組むことだと思います。

(中略)

必要な改革は、労働時間改革です。この不況で、多くの企業が残業を減らしていますが、何もしなければ、景気が回復すれば、以前と同じような長時間労働が広がることが予想されます。そもそも、残業するのがあたり前、残業をしなければ、住宅ローンや子どもの教育費が払えない、過労死、過労自殺が増え続ける。こんな状況をこれからも続けるのか、不況で残業が減っている今こそ、改めて考えるべきではないでしょうか。たとえば、今回の経済危機で、政府は、残業を減らしたり、休業したりして、雇用を維持している企業に対し、助成金を出していて、今回の補正予算でも、6000億円を積み増しました。そこで、たとえば、雇用調整助成金を出す際、労使で、残業の在り方を改めて検討することをその条件に加えてはどうでしょう。交付に手間や時間がかかるというのであれば、助成金を出したあとに報告を義務付けてもいいですし、中小企業ではそれだけの余裕がないというのであれば、まずは大企業を対象にして、モデルを示していくのも現実的だと思います。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/20697.html


獨協大学経済学部教授・森永卓郎氏の、ワークシェアリング導入の提言。
ワークシェアリングは、一石二鳥どころか、「一石十鳥」ないしそれ以上の効果がありそうです。
自殺者減少、過労死防止、失業率低下、内需拡大(景気回復)、ニートひきこもりの減少などなど。
労働者のメンタルヘルスが改善されることにより、労働者の家族及び家庭環境にも良い影響を与えるはずです。
出生率上昇、児童虐待防止、DV防止、不登校の減少などなど。
何より、多くの人が幸福感及び希望を得られることが重要だと考えます。

社会全体として、高齢者を含める形で、思い切ったワークシェアリングを実現すべきだと思う。例えば、国民の大部分が残業や休日出勤から解放され、夏休みを1カ月以上取れるように改革できないだろうか。欧州の国々ではすでにやっていることだし、高齢者が働けば生きがいも得られて、年金財政も助かる。そして何より、国民全体がゆったりと人生を楽しめるようになるのだ。

100年に一度の経済危機を、ライフスタイル改革に結びつけて国民を幸福にする。こういう施策を本当の「構造改革」と言うのだと私は思う

http://doraku.asahi.com/info/doraku/money_090126.html


感情障害(気分障害)すなわち躁鬱病及び鬱病の患者が、初めて100万人を超えたそうです。

 患者調査によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数は、1996年に43万3000人、99年は44万1000人とほぼ横ばいだったが、2002年調査から71万1000人と急増し、今回の08年調査では、104万1000人に達した。

 10年足らずで2・4倍に急増していることについて、杏林大保健学部の田島治教授(精神科医)は、「うつ病の啓発が進み、軽症者の受診増も一因」と指摘する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091204-OYT1T00048.htm?from=main1


職場でのいじめ等のトラブルの際に利用できる「労働審判」について。

 労働審判手続きは06年度、解雇や賃金未払いなどの労使紛争を迅速に解決するために導入された。賠償は、民事訴訟や労働局によるあっせんでも求めることはできるが、平均2カ月半という短い審理期間で、裁判上の和解と同じ強制力がある解決が得られる。

 申し立ては地裁で行い、審理は原則3回以内と定められている。委員会は、職業裁判官である審判官と民間出身委員2人の計3人で構成し、労使双方から言い分を聞く。煩雑な書面のやりとりは避け、当事者はその場で、主張とその証拠を示し、相手への反論、再反論などを行い、委員会が解決策として審判を行う。100万円の請求額で、裁判所に支払う手数料は5000円。個人でも申し立てはできるが、弁護士に代理人を依頼する人がほとんど。審判を待たずに、調停で解決策を探るケースが多い。

 審判に不服があれば異議を申し立てることもできるが、訴訟に移行するのは12%にとどまる。いじめが実際にあったかどうかなど事実関係の認定より、双方が折り合える着地点を探ることが重視されている

http://mainichi.jp/life/job/navi/archive/news/2009/20090112ddm013100040000c.html


職場トラブルの相談先等
http://mainichi.jp/life/job/navi/archive/news/2008/20080728ddm013100021000c.html


厚生労働省のサイト「こころの耳」
http://kokoro.mhlw.go.jp/


ヨーロッパでの労働者保護の取り組み。

 デンマークの失業対策はきわめて手厚く、日本の雇用保険制度とは雲泥の差がある。

 失業給付期間は、最長4年間。
 失業手当は、失業したその日から支給される。

 12ヶ月後(25歳以下の若者の場合は6ヵ月後)から職業訓練が義務付けられ、充実した職業訓練を受けることができるようになる。

 四年間で就職できなかった者に対しては、失業給付と同額の社会給付が支給される。
 このように、デンマークでは、失業しても安心して生活できる制度になっているのである。


 これを可能にしているのが、失業保険を含めた労働市場政策に対する公的支出である。
 デンマークの公的支出の割合は、対GDP比で4.5%にも達している。

 日本は、わずかに0.7%である(いずれもOECD、2004年)。


(中略)


 フィンランド雇用契約法は、自宅でみずからの道具と機械を使って働く労働者をその適用範囲に含めている。
 また、報酬に関する合意がない場合でも、その労働が報酬なしにおこなうことを目的としていないという実態が認められれば、雇用契約法が適用される。

 フランスの労働法典は、家内労働者だけでなく、ジャーナリストと芸術家、モデルを雇用者としてあつかい、同法を適用している。
 さらにガソリンスタンド事業者、独占的販売代理店主、フランチャイズ加盟店主などについて、非労働者としてのあつかいを維持したまま、労働法上の規定を適用している。

 イギリスでは、雇用されていない就業者に最低賃金法が適用される。

 オランダでは、他人の利益のために報酬を得て三ヶ月継続して働く場合、または月の労働時間が20時間を下回らない場合、その労働は雇用契約のもとにあると推定している。

http://kuromame55myhome.blog99.fc2.com/blog-entry-368.html


職場でのいじめに関するヨーロッパ諸国の立法
http://homepage3.nifty.com/hamachan/jisatsuken.html


このブログの過去の記事
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http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20080313/p1
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