生活の党は、なぜ惨敗したのか


参議院選挙は、昨年の衆議院選挙に続いて、ほぼ最悪の結果になりました。
「正しいこと」を言っていても、大変な努力を続けていても、独自の特長をアピールできなければ選挙に勝てない。その当たり前の現実を、改めて突き付けられました。


大部分のマスメディアは、自民党が推し進める憲法改悪およびTPP交渉参加にどれほどのリスクがあるかをほとんど伝えず、「アベノミクス」を繰り返すばかり。アベノミクスという言葉を用いて「従来とは異なる、効果的な政策」のイメージを膨らませること自体が、安倍政権の提灯を持つことだと思います。
これでは、自民党は負けません。


野党は「自民党と同様の政策を掲げる政党」「自民党とは明確に異なる政策を打ち出している政党」に大別されますが、前者(民主党日本維新の会みんなの党)を自民党の代わりに選ぶ有権者はそう多くはないはずで、後者(生活の党社民党みどりの風など)は類似した政策でも別々に選挙を闘い共倒れとなってしまいました。
自民党の圧勝は、誰もが予想した結果でした。


私がボランティアで支援した生活の党は、ひとつも議席を獲得できませんでした。
「せめて、森ゆうこさんおよび三宅雪子さんだけでも当選してほしい」と願っていたのですが、本当に悔しい思いです。


生活の党は、ハンディキャップを抱えていました。
日本未来の党の分裂に伴い昨年末に結成されたばかりで、党名すら有権者に周知させることができたとは考えにくいこと。
「人物破壊」の標的とされてきた小沢一郎氏が代表(党首)を務めていること。
http://togetter.com/li/429673
http://togetter.com/li/441741


「ゼロから」ではなく「マイナスからのスタート」だったのです。
しかも、ほとんどのマスメディアが自民党の提灯持ちとなり、多数の政党が乱立する状況下で「生活の党を選んでもらう」ためには、特別な手立てが必要だったはずです。


「生活を守る」が生活の党のスローガンでした。
それは「最も政治に求められることだ」と私は思いますが、共産党および社民党が長年繰り返してきたスローガンに酷似しています。「共産党および社民党と同様の陳腐な表現だ」としか思えなかった有権者が多かったのではないでしょうか。
「マスメディアが高く評価するアベノミクスこそが、国民の生活を守ってくれる」と考えている有権者に対して、説得力があったでしょうか。
共産党および社民党に「実現困難な政策を無責任に打ち出すだけで、政権担当能力のない政党」というイメージを持つ有権者は、生活の党にも、そのイメージを重ねてしまったのではないでしょうか。


他党とは異なる「キラリと光る表現」を用いるべきなのに、「生活を守る」では埋没してしまう。
そのように危惧していたのですが、案の定でした。
アベノミクスの実体には様々な問題がありそうですが、「新しい政策」(実体は昔の自民党の政策?)という「攻め」のイメージです。「守り」のイメージで対抗するのは、不利だったのではないでしょうか。
このような生活の党を敵視する勢力が、選挙でわざわざ不正を働くことは、やはり考えにくいです。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/20130107/p1


所属議員数の減少により、政党交付金が更に減額されてしまう生活の党。昨年の総選挙で抱えた借金が、今回の参議院選挙で更に増えてしまうはずですが、返済できるのでしょうか。
今後も、企業・団体献金など期待できず、再起は一層困難になってしまったと言わざるを得ません。


それでも、小沢氏が語るように、自民党に対抗する勢力を結集できれば、3年後までに再び「非自民による政権交代」を実現することは不可能ではありません。4年前の民主党も、昨年の自民党も、その前の総選挙での大敗からの大逆転だったのですから。
私が応援してきた三宅さんが述べられている通り、「止まってしまったら終わり」「前に進んでいくしかない」のでしょう。
https://twitter.com/miyake_yukiko35/status/359157704327036928

生活の党・三宅雪子さんを、もう一度、国会へ!


命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。
この西郷隆盛の遺訓は、山岡鉄舟を評して語ったものなのだそうです。


生活の党代表・小沢一郎氏が、この遺訓を雑誌のインタビューで引用するまで、私は知りませんでした。
小沢氏は、マスメディアの偏向報道によって、あまりにも世間で自分が誤解されているので、「本当の自分は『カネの亡者』『権力の亡者』ではない。分かってほしい」との思いを、婉曲な表現で述べたのではないでしょうか。
あるいは、自分と共に民主党を離党した同志たちも、自分と同様に誤解されがちなので、擁護したかったのかもしれません。「巨額の政党交付金を得ている民主党を去り、ほとんど政党交付金をあてにできない生活の党または生活の党の前身である旧日本未来の党で選挙に臨んでいる事実が証明しているが、決してカネ目当てではないのだ」と。
http://togetter.com/li/441741
http://togetter.com/li/429673


私自身、恐らく小沢氏が民主党代表に就任するまでは、マスメディアの影響で小沢氏を色眼鏡で見る部分があったことは否定できません。
しかし、小沢氏の秘書たちが逮捕され、小沢氏が民主党代表を辞任するあたりから、インターネットなどの情報で、検察の捜査およびマスメディアの報道に強く疑問を感じるようになりました。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%be%ae%c2%f4%b0%ec%cf%ba


4年前の政権交代は、小沢氏および鳩山由紀夫氏を中心とする民主党が、自民党とは明らかに異なる政策を掲げて勝ち取ったものでした。
ところが、民主党内の「隠れ自民党員」たちによって、「自民党がやりたかったことを民主党政権が推し進める」という、有権者への裏切りとしか言いようがない事態になってしまいました。
昨年の衆議院解散、総選挙によって、自民党は、惨敗した4年前よりも更に少ない得票数であったにもかかわらず、政権に復帰してしまいました。


生活の党は、民主党が捨て去った政策を守ろうとして離党した方々が結成した政党です。
現在の与党が軽視する「国民の生活が第一」の理念に基づいて政策を打ち出しているのが、生活の党です。
だからこそ、自民党に対抗可能な新しい勢力の核となるべき存在であり、国民の代表として、国会で最も必要な方々だと私は考えています。
http://www.seikatsu1.jp/political_policy


その生活の党参議院選挙での候補者の中でも、私は、前衆議院議員・三宅雪子さんに関心を持ち、昨年の総選挙で支援しました。
ツイッターおよびブログの内容からは、「政治がやるべきこと、やるべきではないこと」を的確に認識されていること、特に社会保障および福祉に関して見識をお持ちであることが分かります。
数回お会いしましたが、偽りのない、人を引き付ける、信頼できるパーソナリティーであるといつも感じています。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%BB%B0%C2%F0%C0%E3%BB%D2


三宅さんは、高給の民放社員の座をなげうって、国会で働くことを選択されました。ほとんど(全く?)企業献金など得られない状況では、実質的な収入が減ったことは間違いないでしょう。
昨年落選したことで、資金面で一層厳しい状況になったことは、言うまでもありません。
その上に、国会議員だった時期も、落選されてからも、命を削って働くような日々を過ごされているようです。
冒頭で引用した西郷隆盛の遺訓は、まさに三宅さんにあてはまるものではないかとも思えます。


今回、三宅さんは、比例代表で立候補されています。参議院選挙は衆議院選挙とは異なり、比例代表の投票用紙に政党名だけではなく候補者の個人名も記入することができます。
昨年の総選挙では、全国から三宅さんへの支援があったようですが、今回の参議院選挙では、全国から三宅さんに投票することもできるのです。


もちろん、私は三宅さんに投票します。
このブログなどを通じて、三宅さんへの支持が全国に拡がることを願っています。

女優、サヘル・ローズさんの里帰りを見て、泣いた


5日のNHK「旅のチカラ」を録画して見ました。女優、サヘル・ローズさんの、母国イランへの里帰りの様子の記録でした。
http://www4.nhk.or.jp/tabichikara/x/2013-06-05/10/25520/
http://dogatch.jp/news/nhk/17009


彼女が、その波乱に富んだ半生を語った4年前のインタビュー記事を既に読んでいたので、関心があったのです。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/jidai/090402_sahel1/
http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/jidai/090407_sahel2/


涙をこらえることができませんでした。
本当の名前も、正確な年齢も分からないという彼女の今後の人生が、幸福に満ちたものになるよう、イランで児童養護施設を運営したいという彼女の夢がかなうことを願います。


来週木曜日に再放送される予定です。
http://www4.nhk.or.jp/tabichikara/x/2013-06-13/10/31803/


検索すると、彼女は昨年にもインタビューを受けていたようです。こちらも興味深い内容でした。
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20121024/327989/


現在、イランの核開発によって、イスラエルとの間で戦争が勃発しかねない情勢です。
もし開戦されれば、イランの非民主的な政権を支持していない人々まで巻き込まれることは必至です。
だからこそ、決して戦争は認めてはならない、戦争にならないでもらいたいと、改めて強く思いました。

橋下徹の記者会見での詭弁を分析する


27日、日本外国特派員協会で記者会見を行なった橋下徹ですが、詭弁を連発して恥の上塗りとなってしまいました。
前回までの記事と併せてご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%B6%B6%B2%BC%C5%B0


J-CASTニュース(27日付け)

橋下市長は、大阪の旧遊郭街として知られる「飛田新地」の組合の顧問弁護士を務めていたが、市長という公的な役割との整合性を問う質問が出た。これに対して橋下市長は、
「かつては顧問弁護士だったことは事実。それは、飛田の組合という『料理組合』の顧問弁護士。日本において違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰する。料理組合自体は違法でもない」
と主張。記者席は失笑の声がもれた。この回答では到底理解を得られなかったようで、別の記者が、
「名称は『料理組合』かも知れないが、飛田は、お店の2階に上がってお金を払えば買春できることは、大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っている。中学生が聞いて、『橋下さん、うそついてはるわ!』と思うような詭弁(きべん)を弄してひとりの政治家として恥ずかしくないのか」
と追及。橋下市長が苦笑いしながら、
「違法なことであれば、捜査機関が行って逮捕されます。以上です」
と述べると、「なーにいってんだ」という声とともに、再び失笑が漏れた。

http://www.j-cast.com/2013/05/27175959.html?p=all


田中龍作ジャーナル(27日付け)

 橋下氏の政治家としての資質を問う質問も飛び出した。イタリア人記者が「大阪の飛田遊郭の顧問弁護士をしていたというが、売春は日本で禁止されている。女性の尊厳を重視するといいながら、相反していないか?」と質問した。

 橋下氏は「守秘義務があるのでここで語ることはできない。かつて料理組合の顧問弁護士だったことは事実」と一部雑誌などで報道されたことが事実であったと認め、「料理組合自体は違法ではありません」とかわした。会場からは失笑がもれ、質問した記者めがけて「good job!」の声がとんだ。

 筆者は「飛田の料亭の二階に上がりお金を払えば売春できることは大阪の中学生なら誰でも知っている。“橋下さん嘘ついてはる”といわれる。中学生でも分かるような詭弁を弄して政治家として恥ずかしいと思わないか?」とたたみかけた。

 橋下氏は「違法なことがあれば、捜査機関が来て処罰されます」とだけ答えた。遊郭の弁護士をしていたからこそ、「風俗活用」発言が飛び出したのではないか。

http://tanakaryusaku.jp/2013/05/0007176


日刊ゲンダイ(28日付け)

 ある外国人記者は会見20分後にメモを取るのをやめ、1時間後には途中退席する記者が相次いだ。27日、日本外国特派員協会で行われた日本維新の会橋下徹共同代表(43)の記者会見の一コマだ。

 300人超の報道陣を前に、橋下は慰安婦発言の「真意」を延々しゃべり倒した。会見は実に3時間にも及んだが、中身はスカスカ。質問には正面から答えず、得意の論点すり替えの連発に外国人記者もドッチラケ。恐らく「聞く価値なし」と判断したのだろう。冒頭のように、うんざりムードが漂っていた。

(中略)

 かみ合わない問答を象徴したのが、イタリア人ジャーナリストのピオ・デミリア氏とのやりとりである。

 ピオ氏が橋下にブツけたのは、茶髪弁護士時代の過去だ。かつて大阪・飛田新地にある150軒ほどの「ちょんの間」を束ねる組合の顧問をしていたという一部報道を取り上げ、「あなたも違法な売春シンジケートに関与していたのではないか」と問いただした。

 すると、橋下は「顧問弁護士だったのは事実」と認めた上で、不敵な笑みを浮かべながら、こうはぐらかした。

「ただ、あくまで飛田の『料理』組合の顧問です。日本において(組織売春のような)違法なことがあれば、捜査機関が適正に処理する。料理組合自体は違法な組織ではありません」

 ジャーナリストの田中龍作氏が「飛田が売春の街であることは、大阪のマセた中学生なら誰でも知っている。なぜ詭弁(きべん)を弄するのか」と追及しても、「違法であれば捜査機関が適正に処理する。以上です」とマトモに取り合おうとしなかった。改めて田中氏は言う。

自分の過去を直視できない政治家が、どの口で『世界各国も女性を蹂躙した過去と向き合え』などと言えるのか。あんな不実な態度では、慰安婦発言の見解も『単なる言い逃れ』と外国人記者に見透かされてしまう。世界中に『日本の政治家はこの程度か』と見下され、ひいては日本人全員への不信にもつながりかねません」

http://gendai.net/articles/view/syakai/142582


J-CASTニュース(28日付け)

コメンテーターの竹田圭吾(国際ジャーナリスト)は「誤報ではないかとか、他の国も責任を感じるべきだとか言うのは論点のすり替えと責任転嫁ですよ。この2週間の対応は詭弁のデパートみたいで、その総決算のような会見だったと思う。それがあまり表に出てこなかったのは、同時通訳が上手で女性の声だったことや、質問もゆるかった」と厳しい見方をした。

http://www.j-cast.com/tv/2013/05/28175983.html?p=all


J-CASTニュース(28日付け)

コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説委員室長)「何をもって誤報としているのか。その根拠を示して欲しいですよね。でも、彼はそれについて何も語っていない。彼の発言には問題のすり替えや責任転嫁が多い」
三屋裕子(スポーツプロデュサー)も「橋下さんはもうしゃべらない方がいいですよ。しゃべればしゃべるほど泥沼にはまっていく」と眉をひそめる。
潟永秀一郎(「サンデー毎日」編集長)「政治家としての発言が、どれほどの重みを持っているのかをわかっているのでしょうか。彼はやんちゃというイメージでこれまで受け入れられ、維新の会を支えてきた。しかし、そのイメージも今回の問題で崩れつつある。維新の会への支持率はどんどん下がっており、これから厳しい状況に置かれるでしょう」

http://www.j-cast.com/tv/2013/05/28175980.html?p=all


琉球新報(社説、28日付け)

 「米軍の犯罪被害に苦しむ沖縄の問題を解決したいとの思いが強すぎて誤解を招いた」と、沖縄のためを思っての発言だったというが、苦しい弁明だ。「県民の基本的人権が尊重されるよう、米軍が実効性ある取り組みを開始することを切に望む」とも述べたが、大型連休中に来県した際、県などが長年求めている日米地位協定の抜本改定を「市民運動的」と酷評していたことを指摘しておきたい。

(中略)

 最初の発言は「精神的に高ぶっている猛者集団に慰安婦制度が必要なことは誰だって分かる」だ。翌日のツイッターには、自身に批判的な新聞も「発言を比較的正確に引用してくれた」と書き込んだが、非難が殺到すると態度を一変。「大誤報」「日本人の読解力不足」と責任を転嫁するさまは見苦しく、政治家としての資質さえ疑う。
 発言の修正を重ねて臨んだこの日の会見では「女性の尊厳と人権を普遍的価値として重視している」と最初とはまるで別人だったが、慰安婦に関しては、「利用」した日本は悪かったとしつつ、外国軍も同様のことを行ったと重ねて主張した。
 問題解決への向き合い方が問われている自身の責任は棚に上げ、「他も同じことをやっている」と反論を繰り返していることが、海外の日本批判をさらに強めていることにもいい加減気付くべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-207223-storytopic-11.html


毎日新聞(28日付け)

 橋下氏は沖縄の米軍司令官に風俗業の活用を求めた発言は撤回したが、謝罪する対象を「米軍と米国民」に限った。あくまで対米関係の問題として、この日も撤回しなかった従軍慰安婦を巡る発言と切り離す狙いがある。

 しかし、橋下氏が批判を受けたのは、「在日米軍兵士による犯罪の抑止」のために風俗業の活用を求める発言と、「銃弾が飛び交うなかで命をかけている集団には慰安婦制度は必要」という発言が共に、女性を性の道具として利用することへの批判的な観点が欠けているとみられたためだ。慰安婦を巡る「必要だった」とする発言について、当時の一般的な認識を指摘しただけで「報道は誤報だ」と主張しても、橋下氏自身が米海兵隊に女性の「利用」を勧めた事実がある以上、説得力がない。

 このため、橋下氏は会見の冒頭で、「本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像・政治家像が流布してしまった」と悔やみ、「疑問の余地なく、女性の尊厳を大切にしている」と強調した。

 そのうえで、従来の発言が「女性蔑視」と指摘されていることと橋下氏自身が主張する「人物像」との食い違いについては「戦時において世界各国の軍が女性を必要としていたと発言したところ、私自身が必要と考える、私が容認していると誤報された」と報道に責任を転嫁した。

 さらに、米英、韓国、ドイツなどを名指しし「女性を利用したことは世界各国が過去を直視しなければならない」と訴え、問題の一般化も図った。

(中略)

 橋下氏は「日本の過去の過ちを正当化するつもりはない」と繰り返した。だが、記者会見で橋下氏自身の政治家としてのあり方が問われているのに、報道への責任転嫁や問題の一般化は答えをそらしている印象につながる。

http://mainichi.jp/select/news/20130528k0000m010110000c.html


毎日新聞(30日付け)

 橋下氏は「メディアは一文だけ聞いてそこだけ取る」「文脈をきちっと取って報道すべきだ」と言う。では、14日の一問一答全体や文脈から何が伝わったのか。沖縄の地方紙、琉球新報の18日社説はこう書いている。

 「『海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール』するはけ口として、生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ」「(戦時中)『慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる』と述べたが、『分かる』はずがない」「沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい」。同感である。

 橋下氏は後に「風俗業発言」は撤回したが、文脈から伝わったのは、従軍慰安婦問題の見解や歴史認識以前の、橋下氏の人権感覚、人間観ではないだろうか。国内外に批判が広がったのもこの点にある。「報道で正反対の人物像・政治家像が流布してしまった」と橋下氏は言う。しかし、流布した原因は橋下氏の発言、言葉そのものにある。報道批判は責任転嫁だ。ましてや、「日本人の読解力不足」との指摘はあたらないし、「他国も同じようなことをした」との主張は論点のすりかえと映る。

http://mainichi.jp/select/news/20130530mog00m040001000c.html

橋下徹の詭弁に騙されないために、橋下徹の著書が役に立つ!(3)


橋下徹の今日の記者会見も、案の定、詭弁を弄した見苦しい自己正当化でした。


今日の時事通信の記事より。

 日本維新の会橋下徹共同代表(大阪市長)の日本外国特派員協会での会見要旨は次の通り。
 【冒頭発言】
 日本兵慰安婦を利用したことは、女性の尊厳と人権をじゅうりんする決して許されないものだ。日本は過去の過ちを真摯(しんし)に反省し、慰安婦の方々には誠実な謝罪とおわびを行うとともに、悲劇を繰り返さない決意をしなければならない。
 世界各国の兵が戦場で女性を利用してきたことは厳然たる歴史的事実だ。「戦時に世界各国の軍が女性を必要としていた」と発言したところ、私が容認していると誤報された。
 日本の過ちを正当化してはいけないことを大前提に、世界各国も(慰安婦問題に)「セックススレイブ(性奴隷)」というレッテルを貼って日本だけを非難することで終わってはいけない。
 在沖縄米軍に風俗業利用を勧めた自らの発言は不適切な表現であり、撤回する。米軍と米国民におわび申し上げる。
 一部の心ない兵士の犯罪により、日米の信頼関係が崩れることのないように米軍の綱紀粛正を徹底してもらいたいとの思いが強すぎ、不適切な表現を使った。日本の法律で認められていない売春・買春を勧めたとの誤報につながった。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013052700803


最初の発言の翌日の14日、「批判の急先鋒に立つ朝日新聞も、僕の発現を比較的正確に引用してくれていた」「毎日新聞も僕に対する批判の急先鋒だが、かなりフェアに発言要旨を出している」などとツイッターに書き込みを行なったのに、17日になって一転「大誤報をやられた」「日本人の読解力不足だ」などと、マスメディアだけでなく、「橋下を批判する全ての日本人」への責任転嫁を始めたのです。
https://twitter.com/t_ishin/status/334055843295272962
https://twitter.com/t_ishin/status/334086571651391490
http://mainichi.jp/select/news/20130518k0000m010093000c.html


なぜ橋下は臆面もなく詭弁および前言撤回を連発するのか。
前回までの記事でも取り上げましたが、その答は、やはり橋下自身の著書にあるようです。


赤旗の記事(2012年8月23日付)より。

「嘘は政治家の始まり」

 「大阪維新の会」の地方議員や公募区長らに、物議をかもす言動が多いのはなぜか。

 取材をすすめると、橋下徹大阪市長その人に根源があるのではないか、との思いが強くなります。橋下氏を最初に政界にさそった自民党関係者は「義理、人情、恩返しという(保守)政治家の基本を忘れた、ドライなやつだ」と証言します。

権力欲の手段

 証言によると―。2007年10月の大阪市長選の際、「自分は出る筋合いはない。東国原でも(宮崎県)知事なのに」といって要請を拒否。その後、08年知事選に出馬し、当選すると自民党と距離を置き、民主党みんなの党などの有力政治家に近づいたといいます。

 橋下氏が駆け出し弁護士だった時代の法律事務所所長は「純粋な弁護活動よりカネに執着が強い印象だった」と証言。弁護士会に紹介された依頼人から着手金を高くとったために、弁護士会副会長から電話で注意されたとき、「なぜいけないんですか」と食って掛かったのが印象的だったと語ります。

 橋下氏の著書『まっとう勝負』ではこんなくだりも。「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ。…自分の権力欲、名誉欲を達成する手段として、嫌々国民のため、お国のために奉仕しなければならないわけよ」「ウソをつけない奴は政治家と弁護士にはなれないよ! ウソつきは政治家と弁護士の始まりなのっ!」

http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/5bu-ishin/07-ishin5.html


昨日の東京新聞のコラム「筆洗」より。

ありえない比喩による論理のすり替え、相手に考える間を与えないテクニック…。『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』という本に書かれている駆け引きの実践例だ▼日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が十年前に書いたこの本を読むと、弁護士として磨いた交渉術を今も活用していることが分かる。古書店では元値の倍以上の値がつく人気だ▼自分の発言のおかしさや矛盾に気付いた時は「無益で感情的な論争」をわざと吹っ掛けるとあった。その場を荒らして決めぜりふ。「こんな無益な議論はもうやめましょうよ。こんなことやってても先に進みませんから」▼橋下さんはきのう出演したテレビ番組で、在日米軍に風俗業の活用を求めた発言について、米軍と米国民に謝罪、発言を撤回する意向を示した。発言撤回に言及したのは初めてだ▼言い負かせば勝ち、という価値観も国内外からの批判に揺らいだとみえる。「(従軍慰安婦が)必要だったのは誰だって分かる」との発言を「その時代の人たちが必要と思っていたと述べた」とすり替え「日本人の読解力」やメディアに責任転嫁した。これらの発言も撤回すべきだろう▼弁護士時代のように、感情的な議論を吹っ掛け、「無益な議論はやめましょう」とはごまかせない。すべて自らがまいた種だ。頼みにする「ふわっとした民意」が逃げてゆく。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013052602000137.html

橋下徹の詭弁に騙されないために、橋下徹の著書が役に立つ!(2)


日本維新の会共同代表・橋下徹は、「タレント弁護士」であった8年前、「図説 心理戦で絶対負けない交渉術」と題する著書を出版しています。
http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B3%E8%AA%AC-%E5%BF%83%E7%90%86%E6%88%A6%E3%81%A7%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E8%B2%A0%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%A4%E6%B8%89%E8%A1%93-%E6%A9%8B%E4%B8%8B-%E5%BE%B9/dp/4537253290/ref=cm_cr_pr_product_top


その表紙には、「言い訳、責任転嫁、あり得ない比喩、立場の入れ替え、前言撤回 どんな相手も丸め込む48の極意! 思い通りに相手を操る非情の実戦テクニック!!」との記載があります。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4537253290/ref=dp_image_text_0?ie=UTF8&n=465392&s=books


橋下の言動を注意深く見ていると、彼は「心理戦で絶対負けない」ことを非常に重視しており、「言い訳、責任転嫁、あり得ない比喩、立場の入れ替え、前言撤回」を駆使していることが分かります。彼にとって、政治とは「思い通りに相手を操る」ことなのだろうと思います。
そのような橋下の危険性を、私は何度も指摘してきました。
http://d.hatena.ne.jp/psw_yokohama/archive?word=%B6%B6%B2%BC%C5%B0


前言撤回は、橋下にとって日常茶飯事です。
彼の数々の「前言撤回歴」をまとめたWebページがありますが、これでも恐らく「ほんの一部」に過ぎないのでしょう。
http://matome.naver.jp/odai/2134197126906542701
http://matome.naver.jp/odai/2133998403864053701


その橋下の前言撤回が、またひとつ増えました。


昨日の朝日新聞より。

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は20日、17日に「やめる」と表明した囲み取材を再開した。「市長を辞めるまで受けないわけにはいかない。期間があくと、(再開に)自分のメンツを気にしていろんな理由をつけなければならない。早く再開してしまった方がいいと(思った)」と理由を説明した。

http://www.asahi.com/politics/update/0520/TKY201305200388.html


今日の日刊ゲンダイより。

「論点ずらし」「責任転嫁」7連発 橋下市長“天賦の才”
絵に描いたような無節操
 橋下徹大阪市長が20日、一度は「やめる」と宣言していた囲み取材を再開した。「日本人がこれだけ(従軍慰安婦に)意識を持つことになったので、いい方向に向かっていけばいい」と何か良いことをしたかのような言い草だ。

 そもそも、「従軍慰安婦は必要だった」「在沖縄米軍の風俗業の活用を」と失言し、批判されたのは自分の責任。しかし、橋下市長は「今回はもう、大誤報をやられたんでね」とマスコミに責任を転嫁していた。

 橋下はもともとそういう人物だ。論点のすり替えにかけては天賦の才がある。旗色が悪くなれば話を微妙にずらし、時には平気でウソもつける。これを世間では支離滅裂とか屁理屈と呼ぶが、と〜っても柔軟性のある政治家なのだ。

 そもそも、大阪府知事選への出馬を「2万パーセントあり得ない」と否定したのに、わずか数日後の出馬会見で「ウソと言えばウソだった」と言える。変幻自在ぶりは舌を巻くほどで、大飯原発の再稼働も断固反対の立場だったのに、先の衆院選で「建前論ばかり言っても仕方ない」とあっさり変質している。

 国歌斉唱で先生の口元までチェックするのはおかしいと質問されれば、「国歌斉唱は誰が誰に命じたものですか。言ってみなさい!」と逆質問で切り返す。

<はぐらかし論法は昔から>

 維新選出の府議や市議が、政務調査費でダイソン掃除機7万4800円やエアコン8万4000円を購入したことが発覚すると、「選挙活動に使う横断幕まで規制するルールはおかしい」と問題点を変えて切り抜けている。

 大阪の高校のバスケ部員が自殺した問題も当初は、「正直、僕はクラブ活動の中でビンタをすることはあり得ると思っている」と答えていた。橋下が最初に所属した樺島法律事務所の樺島正法弁護士(神戸学院大教授)がこう言う。

「出会ってすぐは誰にでも愛想がよく、私にも〈妻と乳飲み子がいて生活が大変なんですよ〉なんて陽気に話していた。論点をずらして話をはぐらかすやり方は昔からで、不幸な生い立ちをしてきたからか、逆に従軍慰安婦のような弱者を憎んでしまう。〈自分は努力で這い上がってきた〉という自負が屈折した形で出てしまうのでしょう」

 ホステスとのコスプレ不倫疑惑では、「家庭内のことですから」のフレーズを17回も連発。こんな人物が政党の顔だというのだから、海外の人から日本人はヘンだと思われるのも仕方ない。

http://gendai.net/articles/view/syakai/142465


弁護士・伊藤和子氏のブログより。

知らない人はもういないが、5月13日、橋下徹大阪市長日本維新の会共同代表は、第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」は「必要だということは誰でもわかる」などと述べ、2007年の第一次安倍内閣閣議決定に言及しつつ、「日本政府自体が暴行脅迫をして女性を拉致したという事実は今のところ証拠に裏付けられていません」とも述べた。

さらに、性犯罪が続く沖縄の在日米軍に関連して、沖縄米軍の司令官に対して「日本の風俗業を活用してほしい」とも発言している。

橋下氏は、「慰安婦に配慮を」などと言ったり、在日米軍に対する発言については「国際感覚がなかった」などと弁明を繰り返しているが、発言の根幹は撤回していない。

最近では「誤報だ」などと言ったと報道されているが、5月13日の登庁時、退庁時のぶらさがりやその後の会見の一問一答がシノドスに公開されていて、「必要だ」と何度も繰り返していることは否定しようがない。最近では、「英語力のなさから誤解を生じさせた」と言っているが英語力の問題とは関係ないし、誤解と言ってごまかせるものではない。抗議・非難が殺到するのは当然というほかない。

(中略)

戦時下におけるレイプ、性奴隷制、強制買春は、国際刑事裁判所ローマ規程7条に明記されている通り、「戦争犯罪」を構成する最も深刻な国際犯罪のひとつであり、第二次大戦当時の国際法にも明らかに違反するものだった。「従軍慰安婦」制度が、国際法に違反する、女性に対する深刻な人権侵害であり、いかなる意味においても正当化・合理化できないことは国際常識であり、それはホロコーストについていかなる正当化も許されないのと国際的にはほぼ同じように理解されている。

橋下氏の発言は、かくも重大な人権侵害である戦時性暴力を「必要だった」と容認することであり、筆舌に尽くしがたい思いをされてきた被害者の方々を再び深く傷つけるものであり、到底許されない。

また、沖縄に関する発言は、戦争遂行・軍の維持のためには女性が性的暴力・性的搾取の対象となってもよいと積極的に推奨するに等しく、「慰安婦」が必要だったという発言と根底にある発想は全く変わらない。女性は今も昔も男性の性処理のはけ口として「活用」されるべき存在だと言う女性蔑視ではないか。

橋下氏は反省したのか、国際世論に驚いたのか、日々発言を転々させているが、一度口にしたことは否定しようがない。

橋下発言に誘発されて西村衆院議員がさらに許しがたい発言をしているが、「トカゲの尻尾切り」で済まされるものではない。

こんな女性蔑視の人権感覚の欠如した発言を放置したままでは日本は終わりだと思う。多くの女性たちが求めているとおり、橋下氏は、速やかに発言を全面撤回し、謝罪すべきだ。また、公職を自ら辞任すべきだと思う。

http://worldhumanrights.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-f8f1.html


シノドスでの橋下記者会見の全文文字起こし
http://synodos.jp/politics/3894


橋下徹の詭弁に騙されないためのツイート集」も、ぜひご覧ください。
http://togetter.com/li/505245

橋下徹の詭弁に騙されないために、橋下徹の著書が役に立つ!(1)


日本維新の会共同代表・橋下徹の「従軍慰安婦は必要」「風俗を活用」発言では、国の内外で非難の嵐が巻き起こっています。
橋下は、詭弁を弄して必死に言い逃れようとしています。


13日のNHKニュース

日本維新の会の橋下共同代表は、13日夜、大阪市で記者団に対し、いわゆる従軍慰安婦問題について、「いいか悪いかは別にして、軍の規律を維持するために当時は必要だった」と述べ、当時としては慰安婦の制度が必要だったという認識を重ねて示しました。
この中で橋下共同代表は、いわゆる従軍慰安婦問題について、「いいか悪いかは別にして、軍の規律を維持するために当時は必要だった。戦争に勝った側が、負けた側を乱暴するという事実は山ほどあり、そういうものを抑えるためにも、慰安婦のような制度が必要だったのは厳然たる事実だ」と述べ、当時としては、慰安婦の制度が必要だったという認識を重ねて示しました。
一方で橋下氏は、「慰安婦制度を、すべて否定するとかすべて正当化するのはだめだ。戦争の悲劇で生まれたものだから、意に反して慰安婦となった方には配慮を持って接しなければならない。政府が、拉致して暴行脅迫で無理やりそういう仕事につけさせたと世界から非難されているのは、違うと言わなければいけないし、国を挙げて拉致したという証拠が出てくれば、日本国として反省しなければいけない」と述べました。
また、橋下氏は、今月上旬に沖縄のアメリカ軍普天間基地を視察したことに関連して、「海兵隊の性的なエネルギーを解消するために、司令官に対して、『もっと風俗業を活用してほしい』と言ったら、司令官は凍りついて、『禁止している』と言っていた。法律の範囲内の風俗業は認めないと、建て前論ばかりでやっていたらだめだ」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130513/k10014548821000.html


今日のNHKニュース

日本維新の会の石原、橋下両共同代表は、19日午後、名古屋市内のホテルで2時間近く会談し、松井幹事長らも同席しました。
この中で橋下氏は、いわゆる従軍慰安婦の問題などを巡るみずからの発言について、「『当時は慰安婦が必要だった』という悲しい現実を話したのであり、慰安婦を認めるということではない。沖縄のアメリカ軍の幹部に風俗業の活用を進言したのは、アメリカ兵による事件が絶えない沖縄の現状を変えたいという思いからだった」と説明しました。
そのうえで橋下氏は、「発言の趣旨が曲解して伝わり、党に迷惑をかけて申し訳なかった」と陳謝し、石原氏も理解を示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130519/t10014687001000.html


橋下の「悲しい現実を話したのであり、慰安婦を認めるということではない」との発言は、明らかに詭弁です。
仮に「慰安婦が存在した」と発言したのであれば、「客観的現実を話した」ことになりますが、「当時は慰安婦が必要だった」との発言は、「慰安婦を認めるという」橋下の認識を示したことになるからです。
「発言の趣旨が曲解して伝わり」非難されたわけではないことは、橋下自身がよく分かっているはずです。


その橋下が政治家になる前の著書を読むと、現在の橋下の言動の理由が分かるようです。
http://www.magazine9.jp/hacham/111109/
http://www.magazine9.jp/hacham/111111/
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4537253290/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4537251506/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1


橋下の発言の矛盾は、複数の識者からツイッターで指摘されています。
そのツイートをまとめたので、よろしかったらご覧ください。
http://togetter.com/li/505245